PLDT株価が18%急落、第4四半期の赤字転落響く

2016/03/01

昨年35%減益(実質6%減益)、今年実質20%減益予想
携帯加入者も減少、グローブの連続最高益と対照的

 

 通信業界首位のフィリピン長距離電話(PLDT)が、2月29日に、2015年(1月~12月)の決算速報を発表した。

  それによると、2015年のサービス収入は前年比1%減の1,630億ペソと伸び悩んだ。主力の携帯通信収入は同4%減の1,107億ぺソ(構成比68%)にとどまった。一方、費用は先行投資負担などで同11%増の1,444億ペソに達した。

 その結果、税金・金利・償却前利益(EBITDA)は同9%減の702億ペソ、帰属純利益は同35%減の221億ペソ、デリィバティブ損益など一時的損益などを控除したコア純利益は同6%減の352億ペソであった。すなわち、実質6%減益決算であった。

 なお、2015年第4四半期(10月~12月)は費用が32%増加したことで帰属損益は33億ペソの赤字で、前年同期の61億ペソの黒字から急悪化した。一時的損益などを控除したコア純利益は同8%減の81億ペソと説明されたが、報告上の最終損益が赤字転落は市場に大きなショックを与えた。

 フィリピンの携帯電話普及率が100%を超える(重複加入などを考慮しない単純計算)一方、競争激化、先行投資負担など事業環境は厳しくなってきている。2011年、12年、13年、14年と調整局面が続いたが、15年も厳しい結果となったと。

 PLDTグループの2015年末の携帯電話加入件数は6,500万件で前年末の6,990万件から7%減少(手許計算)した。ブランド別内訳はスマートが2,410万件、トークNテキストが2,810万件、買収したディジテルのサンセルラーが1,280万件となっている。

 競争激化のなか、PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきている。また、ディジテル買収など事業基盤強化も推進している。15年の設備投資額は前年比36%増の432億ペソで、当初予定額の390億ペソを大幅に上回った。

 PLDTは、中期的には高付加価値化やディジテルの買収効果が一層顕在化してきそうなこともあって、業績が再上昇基調となる可能性が高いとの自信を表明している。しかし、足許の業績は厳しそうであり、再上昇基調となるには約3年がかかる見込み。2016年のコア純利益予想額は20%減の280億ペソと発表されている。

 上記の様に、第4四半期の帰属損益が赤字に転落したこと、携帯電話加入件数がかなり減少したこと、2016年のコア純利益が20%減少と想定されていることなどで、2月29日のPLDTの株価終値は前日比18%も急落し1,830ペソに落ち込んだ(16年2月29日のフィリ ピン証券取引所回覧00986-2016号などより)。