比パナソニック好調、9カ月間で62%増益に

2016/02/21

家電類売上18%増の60億ペソ、粗利率27.7%

 

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン(PMPC、会計期末3月)の業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は上昇トレンドを続けている。

 下表のように、2014年度(2015年3月期)の売上高は3年前の2011年度に比べ13%増の67億1,343万ペソへと増加している。純利益は同180%増(2.8倍)の1億6,205万ペソへと急増している。

 そして、2015年度9カ月間(2015年3月~12月)の売上高は前年度同期比18.1%増の63億7,246万ペソに達し、前年度の年間売上高に近い水準となった。堅調なフィリピンの内需、新製品投入、クリスマス商戦に向けての早めの準備などにより二桁増収となった。  粗利益は同14.1%増の16億7,007万ペソ(粗利益率26.2%)、税引き前利益は同59.2%増の2億5,991万ペソに達した。税金費用も同49.6%増加したが、純利益は同62%増の2億0,479万ペソへと大幅増加した。


 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同18.1%増の60億0,592万ペソ(構成比94.2%)に達した。その粗利益は同13.7%増の16億6,435万ペソへと二桁増加した。粗利益率は27.7%であった。また、営業利益は同47.8%増の2億5,731万ペソへと急増した。一方、ビジネス製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同9.4%増の2億8,304万ペソ(構成比4.4%)、その粗利益は同10.7%減の6,373万ペソ、営業損益は1,046万ペソの赤字(前年同期は322万ペソの黒字)であった。また、依然小規模ながら、エコ(環境関連)製品の売上高41.6%増の1,807万ペソへと急増したことが目立つ。

 このほどPMPCは、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明した。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく。また、市場シェア27%で首位となっている冷蔵庫についてもトップの座をさらに強固にする方針である。ちなみに、2014年度の純売上高のうち、冷蔵庫が36.5%、エアコンが36.0%を占めており、2011年度の各々27.8%、30.4%から上昇している。


 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ、14年度までは年間数値)

項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度9カ月間 前年度同期比
純売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 637,246 18.1%
総利益 142,356 168,913 173,238 142,566 167,001 14.1%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 25,991 59.2%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 5,512 40.0%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,253 20,479 62.0%

 (出所:PMPC年次報告書などから作成)


 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの製商品別売上構成比

製品 11年度 12年度 13年度 2014年度
冷蔵庫 27.8% 29.1% 33.2% 36.5%
エアコン 30.4% 29.1% 37.9% 36.0%
テレビ 5.0% 1.6% 1.9% 1.5%
洗濯機 10.3% 10.0% 11.9% 11.6%
その他&輸出 26.5% 30.2% 15.1% 14.4%
合計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

 (出所:PMPC年次報告書などから作成)

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2015年12月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である(16年2月19日提出のパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン2015年度第3四半期事業報告書などより)。