1月のインフレ率1.3%に鈍化(前月1.5%)

2016/02/07

年間目標(2~4%)下限以下の推移続く
寄与度:食料0.6%、外食・サービス0.2%

  フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2016年1月のインフレ率(総合消費者物価指数{CPI、2006年=100}の前年同月比上昇率)は1.3%(速報値)となり、前月(1.5%)、前年同月(2.4%)から鈍化した。

 また、2015年通年の平均インフレ率(1.4%)を0.1%ポイント下回ったが、フィリピン中央銀行(BSP)の事前予想 (0.8~1.6%)圏内に落ち着いた。 また、2016年政府インフレ目標(2.0~4.0%)の下限以下の推移となっている。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は1.8%で、前月の2.1%から0.3%ポイント低下した。

 1月のインフレ率が鈍化した主な要因は、住宅・水道光熱費や燃料価格、及び、衣料・靴類、家庭備品・維持、交通費等の物価が低下したこと。

 総合インフレ率を地域別で見ると、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)は0.6%で前月から0.5%ポイント低下。一方、地方 (地域別構成比 69.994%)は1.5%で、前月から横ばいとなった。

 インフレ率が最も高かった地方はカガヤン・バレー地方 (3.0%)、ダバオ地方(3.0%)。セブ州など中央 ビサヤ地方は2.3%。最もインフレ率が低かった地方は、ビコール地方(-0.2%)であった。


CPI上昇率(インフレ率:2006年基準、前年同月比%)

項目 16年1月 15年12月 15年1月
全国    総合インフレ率 1.3 1.5 2.4
       コアインフレ率 1.8 2.1 2.2
首都圏  総合インフレ率 0.6 1.1 1.5
地方    総合インフレ率 1.5 1.5 2.7

(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


インフレ率目標と実績の推移(11年以前の実績はその目標設定時の00年基準値、それ以降は06年基準)

09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16~18年
インフレ目標 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%  3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 3.2% 3.8% 4.6% 3.2% 3.0%  4.1% 1.4% -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


総合CPI上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 15年 16年
15年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
総合 1.4 2.4 2.5 2.4 2.2 1.6 1.2 0.8 0.6 0.4 0.4 1.1 1.5 1.3
食料品・非アルコール飲料 2.5 5.4 4.8 4.3 3.9 3.2 2.1 1.3 1.2 0.8 0.7 1.7 1.7 1.7
酒類・煙草 3.8 4.1 3.9 3.9 3.9 3.7 3.8 3.8 3.7 3.6 3.7 3.9 4.4 4.7
衣料・靴類 2.6 3.2 3.1 3.0 2.8 2.6 2.5 2.6 2.3 2.1 2.2 2.3 2.3 2.1
住宅・水道光熱費 -1.3 -2.1 -1.1 -0.2 -0.5 -1.5 -1.3 -1.1 -1.8 -2.2 -2.1 -1.2 -0.3 -0.5
家庭備品・営繕 1.9 2.4 2.2 2.1 2.3 2.2 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 1.6 1.6 1.5
健康・医療 2.1 2.7 2.7 2.5 2.3 2.3 2.2 1.9 1.8 1.5 1.7 1.8 1.9 1.8
交通・輸送 -0.1 -1.3 -0.5 -0.2 -0.2 0.1 0.2 -0.5 -0.6 -0.3 0.1 0.6 2.2 1.5
通信 0.0 0.0 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 1.1 1.2 1.2 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 1.0 1.0 0.9 1.0 1.1 1.0
教育 4.2 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 3.7 3.5 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6
外食・サービス他 1.3 1.6 1.5 1.5 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.4 1.4 1.4
首都圏 1.0 1.5 2.2 1.9 1.5 0.7 0.6 0.8 0.2 0.1 0.2 1.0 1.1 0.6
 地方 1.5 2.7 2.6 2.6 2.3 1.8 1.4 0.8 0.8 0.4 0.5 1.1 1.5 1.6




食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
15/1月 5.6 8.6 3.9 11.7 2.1 4.8 4.9 4.6 3.2 6.9 4.3 5.0
2月 4.9 7.2 2.4 11.4 -0.3 4.4 5.3 4.5 2.8 5.8 3.7 4.6
3月 4.4 5.6 0.9 11.1 1.5 3.7 5.3 4.1 2.1 4.5 3.3 4.7
4月 4.0 4.6 0.8 10.9 2.1 2.2 6.1 3.8 1.7 3.7 3.9 4.5
5月 3.2 3.2 0.1 9.4 2.4 1.3 5.0 3.3 0.8 2.6 4.9 4.1
6月 2.1 2.0 -0.3 8.7 -3.2 0.7 4.7 3.0 0.2 1.7 3.8 5.3
7月 1.3 0.1 -0.5 6.1 -3.6 0.7 4.1 2.4 -0.3 0.3 3.3 4.9
8月 1.1 -0.9 -0.7 4.7 2.0 0.3 3.1 1.8 -0.3 -0.5 2.9 4.3
9月 0.7 -1.7 -0.7 3.9 2.3 0.4 2.5 1.5 -0.4 -1.0 2.6 2.2
10月 0.7 -2.3 -1.4 3.5 3.2 0.7 3.0 1.3 -0.6 -1.6 3.1 3.0
11月 1.7 -2.4 0.0 3.6 12.1 0.9 3.6 1.2 -0.1 -1.6 3.9 2.8
12月 1.8 -2.6 0.4 3.5 12.0 0.8 4.2 1.3 0.2 -1.7 4.9 2.4
16/1月 1.7 -2.4 0.9 3.4 11.9 0.8 3.4 1.2 0.2 -1.5 5.6 3.0

(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、1月の総合インフレ率(2006年=100)1.3%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料 0.6% (うち食料品 0.6%)、住宅・水道光熱費 -0.1%、外食・サービス他 0.2%、教育 0.1%、酒類・煙草 0.1%、衣料・靴類 0.1%など。

 中央銀行は、インフレ率が2016~18年のインフレ目標(2.0%~4.0%)に沿った動きに戻りつつあり、現行の金融政策は適切であると判断 している。ただし、米国、欧州、中国等の金融政策の景気や物価に及ぼす影響を注意深くモニターしていく方針である(16年1月5日のフィリピン統計 庁・中央銀行発表より)。


2016年1月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 1月
構成比 インフレ率 寄与度
総合 100.00 1.3 1.3
食料品・非アルコール飲料 38.98 1.7 0.6
   うち食料品のみ 36.29 1.7 0.6
酒類・煙草 2.00 4.7 0.1
衣料・靴類 2.95 2.1 0.1
住宅・水道光熱費 22.47 -0.5 -0.1
家庭用品・営繕 3.22 1.5 0.0
健康・医療 2.99 1.8 0.1
交通・輸送 7.81 1.5 0.1
通信 2.26 0.0 0.0
娯楽・文化 1.93 1.0 0.0
教育 3.36 3.6 0.1
外食・サービス他 12.03 1.4 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)