JBIC、西山製作所のフィリピン進出支援

2016/01/20

横浜銀行通じ冷間引抜鋼管事業へ融資

 

国際協力銀行(JBIC)は、1月20日、「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、横浜銀行との間で、融資金額225万米ドル(JBIC分)の貸付契約を締結した。これは横浜銀行と締結済の日本の中堅・中小企業の海外事業展開支援のための投資クレジットラインに基づく個別契約である。



 JBICは、2013年10月、横浜銀行との間で、中堅・中小企業の海外事業展開支援を企図した投資クレジットライン設定のための一般協定を締結している。このクレジットラインの設定枠は3,000万米ドル限度となっている。JBICは、神奈川県を主な営業基盤とし、中堅・中小企業との幅広い取引関係を有し、日本企業の海外展開支援に積極的に取り組んでいる横浜銀行を通じて、中長期の米ドル建資金を供与することにより、これら中堅・中小企業の海外事業展開に係る資金ニーズに適切且つ迅速に対応することを企図している。

 今回の融資は、西山製作所(本社:神奈川県小田原市)のフィリピン現地法人である「フィリピン・ニシヤマ・パイプ・マニュファクチャリング(PNPM)」が実施する自動車向け冷間引抜鋼管の製造・販売事業に必要な資金に充てられる。

 西山製作所は、品質とコストパフォーマンスに優れる冷間引抜加工による小径引抜鋼管を製造しており、特に外径10㎜以下を得意としている。外径2㎜の極小径管から製造可能で、外径6㎜以下の小径管では約80%のシェアを有している。そして、高精度・高品質を要求される自動車・建設機械・産業機械など幅広い分野で使用されている。

 これまで西山製作所は、フィリピンに進出している日系自動車部品メーカーに対し、日本国内からの輸出で対応していた。しかし、ユーザーの現地調達化ニーズが高まったことから、現地法人「PNPM」を設立しそのニーズに対応することを決定した。

 PNPMは、マニラ南方(車で約1時間)の工業団地内に設立。社長は本社西山社長が兼務する。敷地約1万1千平方メートル、建屋面積4千平方メートルの工場棟を建設、30トン級の伸管機(ドローベンチ)2基設置と伝えられている。今後は既存顧客向けのほか、多様なスペックなどの強みを活用してフィリピンでの新規需要も発掘する。さらに、ASEAN諸国などへの輸出も視野に入れている。

 なお、JBICは今後も、日本の公的金融機関として、日本の産業の国際競争力の維持・向上の観点から、民間金融機関と連携しつつ、中堅・中小企業の海外事業展開を支援していく方針である(16年1月20日の株式会社国際協力銀行プレスリリースなどより)。