三菱東京UFJ、比商業銀行に約1千億円出資へ

2016/01/14

総資産第6位のセキュリティーバンク株式20%取得

 

 三菱東京UFJ銀行(BTMU)が、フィリピンの有力拡大商業銀行(ユニバーサルバンク)であるセキュリティーバンク(SECB)に出資する意向である。

 SECBは1月14日午前、「SECB取締役会は、三菱東京UFJ銀行(BTMU)からの戦略的提携に関するオファーを受け入れることを決議した。まも なく、合意書に署名が行われるであろう」と発表した。

 両行の合意の骨子は、BTMUがSECBの普通株式約1億5,071万株を1株当たり245ペソで、優先株式2億株を1株当たり0.10ペソで取得する。これにより、BTMUはSECBに20%の出資を行うことになる。総出資額は約369億ペソ(約1千億円)となる。SECBはBTMUの関連会社となり、BTMUはSECBの取締役のうち2名を占めることになる。BTMUにとっては、アジアでは、2013年のタイのアユタヤ銀行買収に次ぐ大型投資案件となる。

 なお、SECBの2015年9月末の総資産は4,820億ペソで民間銀行第6位の規模である。2015年9カ月間(1月~9月)の純利益は前年同期比6%減の61億ペソにとどまったが、前年同期に高水準の売買益が計上されていたことによる。すなわち、売買益減少で小幅減益となった。しかし、本業の融資活動による純金利収入は同7%増の90億ペソと堅調であった。そして、株主資本利益率(ROE)は16%(年率換算)と依然高水準である。
 
 財務諸比率は良好である。9月末の不良債権(NPL)比率は0.31%と業界最低水準。NPL貸倒れ引当率は179%に達している。バーゼルⅢ基準の自己資本比率(CAR)は15.9%で、中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。また、普通株式中核自己資本比率(CET1)も12.7%で、中央銀行の最低基準8.5%を大幅に上回っている。

 このように、SECBは収益力の高さ、財務内容の良好さでは業界トップクラスにあるが、総資産や店舗数など規模においては、2番手グループに位置している。最近は、財務内容の良好さをなるべく維持しながら、店舗数やATM台数など規模の面でも高い成長を目指している。9月末の総店舗数は260店、ATM設置台数は543台となっている(16年1月14日のフィリピン証券取引所回覧00181-2016号などより)。