電通、比事業基盤を再構築・大幅拡充へ

2015/12/16

 現地有力広告企業買収、電通フィリピンと合併へ

 

 電通(本社:東京都港区)の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は12月16日付で、フィリピンの有力クリエーティブエージェンシー「JaymeSyfu Group」(ジェイミーサイフー、本社:マニラ首都圏マカティ市、)に70%出資することと、今後段階的にシェアを拡大して完全子会社化するオプションを電通グループが有することにつき、ジェイミーサイフー株主と合意した。

 2005年に設立されたジェイミーサイフーは、総合クリエーティブの「DM9 JaymeSyfu Inc.」、デジタルクリエーティブに特化した「Digit DM9 Interactive Inc.」、アクティベーション領域に強みを持つ「DNA」の3社で構成されている。

 中核を担う「DM9 JaymeSyfu Inc.」は、フィリンピンでは"Agency of the Year"に輝くなどそのクリエイティビティに高い定評があり、2013年には世界最大の広告祭である「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」においてグランプリを獲得し、D&AD賞やSpikes Asiaにおいても最高賞に選ばれている。2014年にはアジアを代表する業界誌「Campaign Asia」から、"アジアで最もホットなクリエーティブエージェンシー"の第5位に選ばれ、また同社の会長兼チーフ・クリエーティブ・オフィサーのMerlee Cruz-Jayme氏はアジアで最も表彰されたクリエーティブ・ディレクターの第5位に選出されている。

 出資後、ジェイミーサイフーは、総合広告会社である電通フィリピンと合併し、社名を電通ジェイミーサイフーに改称する予定である。合併後は重複している部門を統合し、経営の効率化を図るととともに、更にクリエーティブ、デジタル、アクティベーションの各領域を強化していく。

 電通グループのメディア・コミュニケーション・エージェンシーであるCarat(カラ)が行っている世界の広告費成長率予測(2015年9月)によると、アジア太平洋地域で中国・日本・オーストラリア・韓国・インドネシアに次いで6番目に大きい市場であるフィリピンの2014年の広告費は、前年比で12.8増であった。2015年、2016年も、それぞれ10.2%増、12.3%増と高い成長が続くと予測している。

 なお、本件が電通の2015年12月期の連結業績に与える影響は軽微である。

<ジェイミーサイフーの概要>
社名      : JaymeSyfu Group(ジェイミーサイフー・グループ)
本社所在地 : フィリピン・マカティ市
設立      : 2005年10月
株主構成   : 出資後 電通イージス・ネットワーク70%、ジェイミーサイフー経営陣30%)
売上高     :  1億6,600万ペソ(約4億3,000万円)(2014年12月期)
代 表 者    : Merlee Cruz-Jayme氏(Chairman & Chief Creative Officer)
                   Alex Syfu氏(Managing Partner & Chief Relations Officer)
従業員数  : 54名
事業内容  : デジタル領域を含むクリエーティブ制作やアクティベーションなどの広告ビジネス

 なお、電通はこの12月4日にも「電通イージス・ネットワークが12月4日付で、フィリピンのクリエーティブエージェンシー「ASPAC Creative CommunicationsInc.」(アスパック社、本社:マカティ市)の株式70%の取得と、今後段階的にシェアを拡大して完全子会社化するオプションを電通グループが有することにつき、アスパック社株主と合意した」とも発表している。

 いずれにしても、電通のフィリピンでの事業基盤が急ピッチで大幅拡充されつつあると言えよう(15年12月16日の株式会社電通ニュースリリースより)。