株価11カ月間で4.2%下落(11月2.9%下落)、7千台割れ
2015/11/27
外人560億ドルの売越し(前年同期622億ドルの買越し)
不動産株4%上昇、資源株32%下落、サービスも25%下落
ペソ対ドルレート11カ月間で5.1%下落(11月は0.7%下落)
2009年から2014年まで6年連続で上昇しこの間の株価が約3.8倍へと急騰したフィリピン株式市場は、2015年も 第1四半期及び4月上旬までは非常に強い動きとなっていた。
フィリピン証券取引所指数(PSEi)は、4月6日に終値ベースで初の8,000ポイント台乗せ、同10日には8,127.48ポイントという 終値ベースでの史上最高値を更新した。しかし、その後はギリシャ債務問題の再燃や米国の利上げ観測、さらには中国経済鈍化や金融市場混乱などを背景に調整局面が続いている。
11月も米国利上げ懸念、中国の景気減速、9カ月間で5%台というフィリピンGDP成長率への失望感などにより、月間で2.90%の反落となった。そして、11カ月累計では4.20下落、7年連続上昇達成に黄信号が灯った。
フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末値と月末価、2015年は11月末まで)
フィリピン証券取引所株価指数 | ペソ対米ドルレート | |||
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2004年 | 1,822.83ポイント | 26.38% | 56.280ペソ | -1.39% |
2005年 | 2,096.04ポイント | 14.99% | 53.090ペソ | 6.01% |
2006年 | 2,982.54ポイント | 42.29% | 49.030ペソ | 8.28% |
2007年 | 3,621.60ポイント | 21.43% | 41.280ペソ | 18.77% |
2008年 | 1,872.85ポイント | -48.29% | 47.520ペソ | -13.13% |
2009年 | 3,052.68ポイント | 63.00% | 46.200ペソ | 2.86% |
2010年 | 4,201.14ポイント | 37.62% | 43.840ペソ | 5.38% |
2011年 | 4,371.96ポイント | 4.07% | 43.840ペソ | 0.00% |
2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% | 41.050ペソ | 6.80% |
2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% | 44.395ペソ | -7.53% |
2014年 | 7,230.57ポイント | 22.76% | 44.720ペソ | -0.73% |
2015年1月 | 7,689.91ポイント | 6.35% | 44.080ペソ | 1.45% |
2月 | 7,730.57ポイント | 0.53% | 44.090ペソ | -0.02% |
3月 | 7,940.49ポイント | 2.72% | 44.700ペソ | -1.36% |
4月 | 7,714.82ポイント | -2.84% | 44.520ペソ | 0.40% |
5月 | 7,580.46ポイント | -1.74% | 44.590ペソ | -0.16% |
6月 | 7,564.50ポイント | -0.21% | 45.090ペソ | -1.11% |
7月 | 7,550.00ポイント | -0.19% | 45.740ペソ | -1.42% |
8月 | 7,098.81ポイント | -5.98% | 46.735ペソ | -2.13% |
9月 | 6,893.98ポイント | -2.89% | 46.740ペソ | -0.01% |
10月 | 7,134.26ポイント | 3.48% | 46.820ペソ | -0.17% |
11月 | 6,927.07ポイント | -2.90% | 47.145ペソ | -0.69% |
11カ月間 | - | -4.20% | - | -5.14% |
(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)
11カ月間の大分類セクター別指数の変化率トップは不動産のプラス4.01%、次いで持ち株会社のプラス3.22%。すなわち、この2セクターは年初から小幅ながら上昇となっている。その他は工業6.91%下落、金融9.75%下落、サービス25.42%下落、鉱業・石油32.10%下落と マイナス圏となっている。原油価格や金属国際市況の下落を背景に、鉱業・石油株が大幅下落していることが目立つ。
11カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比5%増の91億3,040万ペソ。そして2014年年間平均の約88億ペソを4%上回っている。外人の売買額シェアは48%で、前年同期の50%、前年通年の49%を下回っている。外人は約560億ペソの売り越しとなり、前年同期の約622億ペソの買い越し、前年通年の約557億ペソの買い越しから急悪化となっている。
11月末のPSE時価総額は前年末比4.5%減の13兆6,070億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同4.5%減の11兆1,872億ペソ、外国企業時価総額が同4.7%減の2兆4,198億ペソであった。小幅ながら株価下落、11カ月間の新規上場がクラウン・アジア・ケミカルズ、SBSフィリピン、メトロリテイルという中小型3社にとどまったこと、バイオ燃料のケムレス・テクノロジーズなど4が自主的上場廃止となったことなどから、PSE時価総額は前年末比縮小という結果となった。
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 | 12年の上昇率 | 13年の上昇率 | 14年の上昇率 | 15年11月末終値 | 11カ月上昇率 |
フィリピン証券取引所指数 | 32.95% | 1.33% | 22.76% | 6,927.07 | -4.20% |
全株指数 | 21.48% | -2.29% | 17.99% | 3,996.91 | -6.28% |
金融株指数 | 57.49% | -6.42% | 18.78% | 1,530.79 | -9.75% |
工業株指数 | 25.48% | 2.11% | 37.89% | 11,154.52 | -6.91% |
持株会社株指数 | 47.01% | 5.41% | 16.03% | 6.502.88 | 3.22% |
不動産株指数 | 55.59% | -4.30% | 27.42% | 2,923.02 | 4.01% |
サービス株指数 | 6.70% | 8.20% | 13.94% | 1,585.64 | -25.42% |
鉱業・石油株指数 | -17.43% | -38.59% | 32.70% | 10,738.29 | -32.10% |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所の(年末・年間値、15年は11月末値もしくは11カ月間累値)
項目 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年11月 |
フィリピン証券取引所指数 | 3,052.68 | 4,201.14 | 4,371.96 | 5,812.73 | 5,889.83 | 7,230.57 | 6,927.07 |
年末時価総額(億ペソ) | 60,291 | 88,611 | 86,970 | 109,301 | 119,313 | 142,517 | 136,070 |
国内企業時価総額 | 39,919 | 68,922 | 72,390 | 94,163 | 96,452 | 117,128 | 111,872 |
外国企業時価総額 | 20,372 | 19,689 | 14,580 | 15,138 | 22,861 | 25,389 | 24,198 |
1日平均売買額(億ペソ) | 41.1 | 49.5 | 57.1 | 72.6 | 105.2 | 88.0 | 91.3 |
外人の売買額シェア | 32.4% | 38.1% | 37.8% | 45.0% | 51.0% | 49.0% | 48.0% |
外人買越額(億ペソ) | 149.2 | 356.2 | 565.2 | 1,099.8 | 155.9 | 557.2 | -560.4 |
PER(株価収益率) | 23.26倍 | 21.32倍 | 16.57倍 | 17.97倍 | 17.79倍 | 20.13倍 | 19.42倍 |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)
一方、PDS(フィ リピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2015年11月末終値が1米ドル=47.145ぺソとなり、月間で0.69%下落、7カ月連続での下落となった。年内の米国利上げ懸念が強まり、11月9日に終値ベースで約5年半ぶりの47ペソ台へと下落した。そして、年初11カ月間累計では5.14%のペソ安となった(PSEやPCD取引記録などより)。