速報:第3四半期GDP成長率6.0%(前年同期5.5%)

2015/11/26

サービス業7.3%と好調、鉱工業5.4%、農林水産0.4%

 

 11月26日午前10時からのフィリピン統計庁(PSA)発表の速報値によると、2015年第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比(以下、同様)6.0%で、前期(15年4月~6月)の5.8%(改定値)、前年同期の5.5%から拡大した。



 今第3四半期のセクター別成長率に関しては、農林水産業がエル・ニーニョ現象にともなう干ばつの影響などで0.4%にとどまったが、非常に不振であった前年同期のマイナス2.6%からは改善した。
 
  鉱工業成長率は5.4%と堅調であったが、好調であった前年同期の7.8%からはかなりの鈍化となった。主力の製造業が5.6%で、前年同期の7.5%から鈍化したことが響いた。また、建設も4.8%で前年同期の13.1%から急鈍化した。

 最大セクターであるサービス産業の成長率は7.3%で、前年同期の5.6%から拡大、引き続き牽引役となった。運輸・倉庫・通信、商業、不動産などの成長率が前年同期から拡大した。ただ、金融が6.0%成長と堅調ではあったが、前年同期の8.4%からは鈍化した。

 支出項目別成長率では、牽引役の家計最終消費支出伸び率が6.3%で、前年同期の4.9%から拡大、牽引役としての役割が一段と高まった。一方、政府最終消費支出伸び率は17.4%で前年同期のマイナス2.4%から激変となった。また、固定資本形成伸び率は9.3%で前年同期の10.7%には及ばないものの高い伸びとなった。輸出伸び率は6.4%で前年同期の12.1%から急鈍化した。一方、GDPのマイナス勘定となる輸入伸び率は13.5%で前年同期の4.7%から急拡大した。
 
 今第3四半期のGNI(国民総所得)成長率は5.8%となり、前年同期の3.9%からは大幅改善した。フィリピン人海外就労者(OFW)からの送金など海外からの純所得 (NPI)の伸び率が4.7%で前年同期のマイナス3.7%から急改善したことで、GDPの伸び率を大幅に上回る改善ピッチとなった。OFW送金がフィリピン経済に大きく影響していることが反映された結果といえよう(15年11月26日の国家統計庁発表などより)。