オフィス賃貸料、供給増で久々に値下がりか

2015/11/17

コリアーズ、首都圏高級物件1年間で3%下落と予想

 

 国際的な総合不動産コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)は8月18日、フィリピン・マニラ首都圏の2015年第3四半期(7月~9月)の不動産市場動向及び今後の見通しを発表した。

 それによると、マニラ首都圏で第3四半期に供給されたオフィスビルは4棟(正味使用可能面積合計4万5,431㎡)。数件の建設計画の完成予定が 2016年、2017年に先送りされた結果、第4四半期の新規オフィス供給予想が約5万平米(㎡)減少した。コリアーズは年内に約50万3,000平米の 新オフィススペースが市場へ供給されると予想している。開発計画が予定通り進めば、マニラ首都圏のオフィス供給量は2018年年末までに959万平米に増 加する見通し。

 第3四半期のマカティCBDのオフィス空室率は2.1%上昇、これはBクラスの物件で空室率が上昇したため。一方、高級物件(プレミアムクラス)は相変 わらず人気が高く、空室率は0.35%と低い。コリアーズは今後12カ月後、即ち、2016年第3四半期には高級物件はほぼ満室になると予想している。

 マニラ首都圏の主要ビジネス地区のオフィス賃貸料は平均で1.8%上昇した。マカティ中央ビジネス区(CBD)の高級物件(プレミアムクラス)は空室が 少ないということもあり前期に比べて4.0%値上がりした。一方、Aクラスは1.2%増、Bクラスは1.4%増と小幅な値上がりであった。しかし、コリ アーズは、来年以降新オフィスが大量に市場へ供給されるとの見通しのうえで、賃貸活動が先細りする可能性を踏まえ、今後12カ月間(16年第3四半期)で は高級物件、A・Bクラスともに賃貸料が値下がりすると予想した(15年11月16日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。



マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/平米)

物件タイプ 15年2Q  15年3Q 対前期伸び率 16年3Q(予) 年間変化率予想
プレミアム 1,035~1,369  1,100~1,400 4.0% 1,076~1,350 -3.0%
Aクラス 717~1,071  717~1,093 1.2% 698~1,067 -2.5%
Bクラス 568~797  574~810 1.4% 569~807 -0.6%

(注:正味使用可能面積に基づいて算出)

マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 15年2Q  15年3Q 16年3Q(予)
プレミアム 0.7%  0.4 0.1%
Aクラス 6.9%  5.8 6.4%
Bクラス以下 0.5%  0.7 4.1%
全クラス 1.9%  2.1 4.1%



マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(正味使用可能面積、単位:平米)

地区 14年末総面積 15年供給 16年供給 17年供給 18年供給 合計
マカティCBD 2,847,397 2,287 - - 60,200 2,909,884
オルティガス 1,298,773 81,509 60,287 14,393 39,290 1,494,252
BGC 975,157 186,910 315,370 339,656 183,227 2,000,320
イーストウッド 300,264 - - - - 300,264
アラバン 378,271 - 91,106 35,004 23,268 527,648
マンダルーヨン 284,550 - - 142,153 - 426,703
北エドサ三角地帯 322,286 24,947 119,049 36,900 - 503,182
パサイ市埋立地 186,203 71,219 78,922 25,385 51,569 413,298
その他 399,886 136,360 69,032 189,035 220,473 1,014,786
合計 6,992,787 503,231 733,765 782,526 578,027 9,590,337

(その他:マニラ、パサイ、ケソン市)


マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 15年2Q  15年3Q 対前期伸び率 16年3Q(予想) 年間変化率予想
プレミアム 15.0~17.1万  15.0~17.3万 0.4% 15.1~17.6万 1.3%
Aクラス 8.7~12.0万  8.7~12.2万 0.9% 8.6~12.2万 -0.2%
Bクラス 6.3~8.7万  6.3~9.1万 2.9% 6.5~9.8万 5.3%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)