比パナソニック好調、15年度上半期48%増益に

2015/11/16

純利益1.5億ペソ、売上高は12%増の42.8億ペソ
消費者製品売上高40.2億ペソ、粗利率27.9%

 

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は11月13日に、2015年度第2四半期(7月~9月)及び上半期(4月~9月)の事業報告書を提出した。

  それによると、PMPCの今年度上半期(4月~9月)の売上高は前年度同期比12.4%増の42億7,614万ペソに達した。堅調なフィリピンの内需、新製品投入、クリスマス商戦に向けての早めの準備などにより二桁増収となった。  

 損益面では、原材料費上昇などで原価率が前年同期の72.6%%から73.6%へと1.0%ポイント上昇したが、増収効果で粗利益は同8.3%増の11億2,779万ペソに達した。そして、販売費用を同0.1減の6億2,385万ペソに抑えたこと、その他収入(ネットベース)が90.7%増の2,580万ペソへと急増したことなどから、税引き前利益は同46.7%増の1億8,477万ペソに達した。税金費用も同40%増加したが、純利益は同48.4%増の1億4,874万ペソへと大幅増加した。1株当たり純利益は同46%増の0.35ペソへと拡大した。

 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同13.6%増の40億2,143万ペソ(構成比94%)に達した。同製品の粗利益は同9.8%増の11億2,376万ペソ、粗利益率は27.9%となった。営業利益は同30%増の1億8,545万ペソへと増加した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同7.8%増の1億9,634万ペソ(構成比4.6%)、粗利益は同17.9%減の4,398万ペソ、営業損益は56万ペソの赤字に転落(前年同期は312万ペソの黒字)。

 PMPCは、「2015年度(2015年4月~16年3月)はB2B(企業間取引)強化することなどで前年度比二桁増収を目指す」と表明している。14年度の売上高は約67億ペソであったことから、15年度は80億ペソを上回る可能性がある。なお、14年度の売上高のうち65%がエアコンと冷蔵庫類であった。

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで50年以上もの長い歴史を有していることとなる。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2015年9月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。

 PMPCのPSEでの直近終値は4.00ペソ。これをベースにすると、上場されているA株の時価総額は約3億3,889万ペソ(約8億8千万円)である。この1年間の高値は4.47ペソ、安値は3.50ペソであった。