卸売物価デフレの様相強まる、8月は4.1%下落

2015/10/25

10カ月連続下落、消費者物価に先行しマイナス圏

 フィリピン統計庁(PSA)によると、2015年8月の全国総合卸売物価指数(WPI、1998年=100)は224.4(速報値)で前年同月から4.1%低下、昨年11月以降10カ月連続でマイナス成長が続いている。

前月(3.7%低下)から一段と下落率が拡大、前年同月(3.1%上昇)からは激変となった。鉱物燃料・潤滑油類の急落(前年同月比-28.3%)が響いている。また、食品、飲料・たばこ、燃料除く非食品原料、化学製品等の価格鈍化も影響している。


フィリピンWPI上昇率の推移(1998年基準、対前年同月伸び率:単位%)
時期 全国 ルソン ビサヤ ミンダナオ
14年 8月 3.1 3.0 3.3 3.0
9月 1.7 1.6 3.3 1.9
10月 1.0 0.8 2.8 1.5
11月 -0.4 -0.8 1.1 1.3
12月 -4.1 -4.8 -1.2 -0.8
15年 1月 -6.4 -7.2 -3.0 -3.0
2月 -4.9 -5.4 -2.4 -2.1
3月 -4.7 -5.2 -1.9 -3.0
4月 -4.4 -4.9 -0.5 -2.9
5月 -4.1 -4.8 -0.3 -1.8
6月 -3.7 -4.2 -1.0 -2.1
7月 -3.7 -4.1 -1.9 -2.2
8月 -4.1 -4.4 -2.8 -2.5
         
07年平均 3.2 2.8 5.4 4.1
08年平均 11.9 12.9 7.9 7.4
09年平均 -3.9 -4.6 -4.7 2.8
10年平均 5.9 6.3 4.0 4.4
11年平均 8.7 9.6 6.4 2.7
12年平均 1.1 1.2 0.1 1.7
13年平均 1.6 2.2 1.9 7.0
14年平均 2.7 2.5 3.2 4.3
(出所:比国家統計庁資料より作成、改定値あり、15年8月は速報値)


参考:卸売物価指数構成比率(1998年=100、単位:100%)
項目 全国 ルソン ビサヤ ミンダナオ
全品目 100.00000 79.73367 9.44202 10.82431
食品 36.03666 28.51825 3.39246 4.12595
飲料及び煙草 4.32913 3.38005 0.46006 0.48902
非食品天然素材(エネルギーを除く) 2.44286 2.14017 0.21180 0.09089
鉱物燃料・潤滑油など 8.61595 7.19030 0.69107 0.73458
化学製品・油脂類 8.21496 6.30154 1.00654 0.90688
原料別製品 16.91699 13.77781 1.32796 1.81122
機械・輸送機器 14.26360 11.25821 1.37657 1.62882
その他工業製品 9.17985 7.16734 0.97556 1.03695

                        (出所:フィリピン国家統計庁資料より作成)

 既報のとおり、8月の全国消費者物価指数(CPI)上昇率は0.6%(2006年=100)%、9月は史上最低の0.4%(同)へと鈍化、CPIベースでは歴史的な超低インフレとなっている。しかし、卸売物価指数(WPI)や製造業生産者物価指数(PPI)は前年同月比下落が続いており、消費者物価指数(CPI)に先行してデフレの様相を呈しているといえる。

 下表の様に生産者物価指数(PPI)は、WPIと同様既にマイナス圏での推移となっているうえ、下落率が拡大している。年初8カ月平均下落率は5.95%となっている。

 2015年の全製造業の生産者物価指数(2000年=100)推移

時期 15年1月 15年2月 15年3月 15年4月 15年5月 15年6月 15年7月 15年8月
生産者物価指数 144.1 144.1 144.1 143.7 143.4 140.4 139.1 139.0
対前年同月伸び率(%) -5.0 -5.5 -5.6 -5.6 -4.8 -6.3 -6.8 -8.0

 (出所:国家統計局資料より作成 注:8月分は速報値)

 なお、当地のWPI統計やPPI統計発表は、CPI統計発表(翌月の5日前後)に比べかなり遅いことに留意する必要がある(15年10月23日のフィリピン国家統計庁発表より)