比ミニストップ8月末507店に、1年間で18%増加

2015/09/11

首位セブンイレブンとの規模や収益力格差が課題

 

 フィリピンのミニストップは、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)によってフランチャイズ展開されている。

 RCSI は、三菱商事、ミ ニストップ株式会社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ・リテイル(RRHI)グループとの共同事業である。2000年にRCSIとミニストッ プ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が正式締結され、2000年12月にミニストップのフィリピン1号店がオープンした。RRHI は2013年11月11日にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場した。

 フィリピンでのミニストップ店舗数は、2012年末337店、 2013年末386店、2014年12月末454店、2015年上半期末494店と出店ピッチが再加速化している。2015年7月末には502店に達し、 2000年12月の初出店以来、約14年半で500店の大台突破となった。そして、8月末には507店に達し、前年同月末の428店から一年間で79店、 率にして18%の増加となった。


フィリピンのミニストップ店舗数推移(月末値)

2014年 2015年
時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
店舗 393 395 402 406 410 414 423 428 435 441 442 454 455 465 473 484 490 495 502 507

(出所:株式会社ミニストップ資料より作成)


 8月に発表さ れたRRHIの2015年上半期(1月~6月)の事業報告書などによると、フィリピンでのミニストップ運営企業であるロビンソンズ・コンビニエンス・スト アーズ(RCSI)のグループ総売上高は前年同期比15.9%増の38億3,200万ペソ、商品売上高は同19.9%増の26億6,176万ペソとなっ た。RRHIにおける売上高構成比は6%であった。増収は主に新規出店 効果によってもたらされたが、既存店売上高も同5.0%増と堅調であった。

 粗利益率は9.3%で前年同期の9.2%から上昇、粗利益は同21.2%増に達した。ロイヤリティー・フィーなどその他収入も同26.3%増の7億 2,075万ペソへと大幅増加した。しかし、販売費用が同34.2%増の8億4,178万ペソへと急増したことなどで税金・金利・償却前利益(EBITDA)は同14.5%減の1億2,570万ペソへと減少した。償却が同約29%増加、純金利負担が同11倍の1億1,743万ペソに急増したことで、税引前利益は同93%減の42万ペソへと急減した。

 なお、日本のミニストップの夏の人気スイーツ「ハロハロ」の今年の販売が、昨年の販売数を大きく超え、過去最高販売数を更新しつつある。ミニストップが日本で1995年より発売を開始したハロハロは、毎年様々なフレーバーを発売。今年で20周年を迎えた。そして、夏のミニストップの看板商品、風物詩として育っている。「夏といえばハロハロ」と例えられるだけでなく、発売開始日や今年の限定フレーバーについて多くの問い合わせが寄せられるようになっている。そして、ソフトクリームにつぐ、ミニストップを代表するスイーツとなっている。

 ハロハロとは、タガログ語で「混ぜこぜ」という意味で、フィリピンの代表的なカキ氷デザートのことである。「混ぜこぜ」という名の通り、中に入れる食材 に特別な決まりはなく、色や食感、味の異なるいろいろな甘いものとカキ氷を混ぜながら食べて、最後はジュースのように飲む、というデザートである。「8」 と「6」をハロと呼ぶことができることから、日本のミニストップでは8月6日を「ハロハロの日」と定めている。このように、日本のミニストップでも、フィ リピン発の商品が大活躍している。フィリピンでもコンビニエンス・ストアの普及が本格化しつつある。現在は業界首位のセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追 うという構図になっている。そして、ファミリーマートとKマートが2013年進出、ローソンも2015年3月にフィリピン1号店をオープンした。

 フィリピンのセブンイレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.56%を所有(2015年6月末現在) するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。2015年6月末の店舗数は1,405店に達し、ミニストップの495店、ファミリーマートの105店に大差をつけている。
 
 フィリピン・セブン社(PSC)の2015年上半期(1月~6月)の業績は堅調に推移している。グループ総売上高は前年比24.3%増の121億 5,330万ペソ、商品売上高は同26.8%増の101億2,930万ペソ、粗利益は同33.4%増の25億1,156万ペソ、税金・金利・償却前利益(EBITDA)は同19.1%増の10億ペソ、税引前利益は同10.4%増の5億1,112万ペソ、純利益は同10.1%増の3億5,650万ペソに達した。

 PSCは、ミンダナオ進出など地方でのネットワーク構築コストが嵩んでいるが、二桁増益ペースを継続、収益面でも2番手グループ以下に大差をつけている といえよう。すなわち、フィリピンのミニストップは、店舗数のみならず収益力でもセブンイレブンとの差を縮めることが急務といえよう。


フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストアの傘下)

年・月 10年末 11年末 12年末 13年末 14年末 15年3月末 6月末 7月末 8月末
セブンイレブン 551 689 829 1,009 1,282 1,341 1405 N.A. N.A
ミニストップ 332 327 337 386 454 472 495 502 507
ファミリーマート 0 0 0 31 87 95 105 109 114

(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値)


フィリピンのセブンイレブンとミニストップの比較(15年上半期実績)

店名 セブンイレブン ミニストップ
運営企業 フィリピン・セブン RCSI
6月末店舗数 1405 495
初出店 1984年2月 2000年12月
上半期商品売上高 101億2,930万ペソ 26億6,176万ペソ
増収率 26.8% 19.9%
粗利益 25億1,156万ペソ 2億4,674万ペソ
粗利益率 24.8% 9.3%
EBITDA 10億ペソ 1億2,570万ペソ
EBITDA増益率 19.1% -14.5%
税引前利益 5億1,112万ペソ 42万ペソ
税引前利益増益率 10.4% -93.0%

(出所:フィリピン・セブンとRCSIの事業報告書などから作成)