8月のインフレ率0.6%へ続落、過去20年間で最低

2015/09/05

寄与度:食料0.4%、住宅・光熱‐0.4%、教育0.1%
8カ月間平均1.7%、目標2.0~4.0%の下限以下に

 

 フィリピン国家統計局(NSO)発表によると、2015年8月の総合消費者物価(2006年=100)は前年同月に比べて 0.6%上昇(速報値)した。前月から0.2%ポイント鈍化したが、フィリピン中央銀行(BSP)の事前予想圏内 (0.2~1.0%)に納まった。また、1995年以降過去20年間で最も低いインフレ率を記録した(1995年以降のデータを2006年基準で算出)。 特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は1.6%で、前月の1.9%から0.3%ポイント鈍化した。

 8月のインフレ率低下の主要因は、食品、非食品類共に価格の上昇が鈍かったこと。米、トウモロコシ(コーン)、パン・シリアル等の価格が前年レベルより低下するなど、食品のインフレ率を鈍化させた。同様に、電力卸売りスポット市場や独立系発電業者(IPP)の発電料金低下及びガソリン・軽油・LPGなど石油製品価格の引き下げによる電気料金の下方修正が非食品類のインフレ率を鈍化させた。

 地域別で見ると、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は0.2%で前月の0.8%から0.6%ポイント鈍化した。一 方、地方 (地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は0.8%で、前月の0.8%から横ばいであった。

 インフレ率が最も高かった地方はダバオ地方(2.4%)、サンボアンガ半島(2.1%)、ミンダナオ・イスラム教徒自治区(2.1%)。セブ州など中央 ビサヤ地方は1.0%。最もインフレ率が低かった地方は、ビコール地方、カラバルソン地方、ソックサルジェン地方で-0.2%であった。

 2015年年初8カ月間の平均インフレ率は1.7%で、2015年政府インフレ目標圏内(2.0~4.0%)より低かった。一方、平均コアインフレ率は2.2%となった。


消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 15年8月 15年7月 14年8月 15年1-8月
全国    総合インフレ率 0.6 0.8 4.9 1.7
       コアインフレ率 1.6 1.9 3.4 2.2
首都圏  総合インフレ率 0.2 0.8 4.4 1.2
地方    総合インフレ率 0.8 0.8 5.0 1.8

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)



政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

09年 10年 11年 12年 13年 14年 15~18年
インフレ目標 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%  3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 3.2% 3.8% 4.6% 3.2% 3.0%  4.1% -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)



総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 14年 15年 
14年 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
総合 4.1 4.9 4.4 4.3 3.7 2.7 2.4 2.5 2.4 2.2 1.6 1.2 0.8 0.6
食料品・非アルコール飲料 6.7 8.3 7.4 7.0 6.5 5.5 5.4 4.8 4.3 3.9 3.2 2.1 1.3 1.2
酒類・煙草 5.2 3.5 3.5 3.5 4.1 4.0 4.1 3.9 3.9 3.9 3.7 3.8 3.8 3.7
衣料・靴類 3.5 3.4 3.6 3.4 3.5 3.5 3.2 3.1 3.0 2.8 2.6 2.5 2.6 2.3
住宅・光熱・燃料 2.3 2.7 2.2 2.4 0.3 -1.6 -2.1 -1.1 -0.2 -0.5 -1.5 -1.3 -1.1 -1.7
家庭用品・営繕 2.7 2.7 2.8 2.8 2.7 2.6 2.4 2.2 2.1 2.3 2.2 1.9 1.8 1.7
健康・医療 3.3 3.3 3.5 3.5 3.5 3.1 2.7 2.7 2.5 2.3 2.3 2.2 1.9 1.8
交通・輸送 0.9 1.1 0.7 0.8 0.2 -1.0 -1.3 -0.5 -0.2 -0.2 0.1 0.2 -0.5 -0.6
通信 0.0 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 0.0 0.0
娯楽・文化 1.9 1.3 1.5 1.5 1.5 1.4 1.2 1.2 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 1.0
教育 4.9 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 3.7 3.5 3.6
外食・サービス他 1.9 1.7 1.8 1.7 1.8 1.8 1.6 1.5 1.5 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2
首都圏 3.2 4.4 3.5 3.6 2.4 1.6 1.5 2.2 1.9 1.5 0.7 0.6 0.8 0.2
 地方 4.5 5.0 4.7 4.5 4.0 3.0 2.7 2.6 2.6 2.3 1.8 1.4 0.8 0.8



食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
14/8月 8.7 13.2 9.1 8.3 15.0 5.9 6.4 4.2 7.5 10.7 7.5 9.6
9月 7.8 10.7 8.3 10.0 9.8 5.9 6.6 4.5 7.5 8.8 7.8 10.5
10月 7.2 10.9 8.3 11.3 5.8 5.5 5.9 4.8 7.2 9.0 7.0 8.6
11月 6.7 10.6 6.7 11.1 3.9 5.2 5.4 5.0 6.7 8.7 6.1 7.8
12月 5.7 9.5 4.8 10.6 1.0 5.0 4.5 4.9 4.8 7.7 4.6 6.3
15/1月 5.6 8.6 3.9 11.7 2.1 4.8 4.9 4.6 3.2 6.9 4.3 5.0
2月 4.9 7.2 2.4 11.4 -0.3 4.4 5.3 4.5 2.8 5.8 3.7 4.6
3月 4.4 5.6 0.9 11.1 1.5 3.7 5.3 4.1 2.1 4.5 3.3 4.7
4月 4.0 4.6 0.8 10.9 2.1 2.2 6.1 3.8 1.7 3.7 3.9 4.5
5月 3.2 3.2 0.1 9.4 2.4 1.3 5.0 3.3 0.8 2.6 4.9 4.1
6月 2.1 2.0 -0.3 8.7 -3.2 0.7 4.7 3.0 0.2 1.7 3.8 5.3
7月 1.3 0.1 -0.5 6.1 -3.6 0.7 4.1 2.4 -0.3 0.3 3.3 4.9
8月 1.1 -0.9 -0.7 4.7 2.0 0.3 3.1 1.8 -0.3 -0.5 2.9 4.3

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2015年8月の総合インフレ率(2006年=100)0.6%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料 0.5% (うち食料品0.4%)、住宅・光熱・燃料-0.4%、外食・サービス他0.1%、教育0.1%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。

 8カ月間平均インフレ率1.7%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.3% (うち食料品1.2%)、住宅・光熱・燃料-0.3%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%などである。

 中央銀行(BSP)は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(15年9月4日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。

 

2015年8月及び8カ月間のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 8月 1-8月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 0.6 0.6 1.7 1.7
食料品・非アルコール飲料 38.98 1.2 0.5 3.2 1.3
   うち食料品のみ 36.29 1.1 0.4 3.3 1.2
酒類・煙草 2.00 3.7 0.1 3.8 0.1
衣料・靴類 2.95 2.3 0.1 2.7 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 -1.7 -0.4 -1.2 -0.3
家庭用品・営繕 3.22 1.7 0.1 2.1 0.1
健康・医療 2.99 1.8 0.1 2.3 0.1
交通・輸送 7.81 -0.6 0.0 -0.4 0.0
通信 2.26 0.0 0.0 -0.1 0.0
娯楽・文化 1.93 1.0 0.0 1.1 0.0
教育 3.36 3.6 0.1 4.5 0.2
外食・サービス他 12.03 1.2 0.1 1.4 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)