三井住友銀行、マカティ市にマニラ支店開設

2015/09/01

昨年の外銀規制緩和以降初、本日から営業開始

ついに日本の三大メガバンクが勢揃い

 

三井住友銀行は、アジアにおけるネットワーク拡大の一環として、フィリピンのマニラ首都圏マカティ市にマニラ支店を開設し、9月1日より営業開始した。



 この度のマニラ支店開設は、2014年7月にフィリピン政府によって、外国銀行に対する参入規制が緩和されて以来、外国銀行として初の支店開設となる。

 フィリピンは、英語が堪能な人材の豊富さや充実した投資優遇策などを背景に投資先として高い魅力を有していることから、今後も高い経済成長が見込まれる国として注目されている。

 三井住友銀行は、1975年に駐在員事務所を設置し、現地での情報収集活動を行ってきたが、マニラ支店開設により、フィリピン国内で預金、資金、為替等の銀行サービスを提供することが可能となった。顧客へのサービス体制を拡充し、現地における金融ニーズにきめ細かく対応していく方針である。

 三井住友銀行マニラ支店の英文表記は、Sumitomo Mitsui Banking Corporation Manila Branch.。所在地はマカティ市アヤラアベニュー アヤラトライアングル タワーワン&エクスチェンジプラザ21階、電話番号は+63-2-880-7100、代表者は朝比奈 由紀夫支店長である(15年9月1日の株式会社三井住友銀行ニュースリリースより)。

なお、フィリピンでは、従来から法的には外国銀行の参入は認められていたが、実際には、法の運用規定により新たな本格参入が不可能な状況が続いてきた。

 フィリピ ンでは外資系銀行の国内参入に関する規定(1994年施行)が制定されており、外資系金融機関は①フル・バンキング免許取得による支店開設、②新たに設立される銀行の60%(上限)の株式取得、③既存銀行の60%(上限)の株式取得、のいずれかによってフィリピンへの参入が可能であった。しかし、「新規に参入する外資系金融機関数を10 行とする」との運用規定により、10行に到達した1999年以降は法律自体がモラトリアム状態となってきた。したがって、法的には自由なものの、運用規定 により実際には参入不可能という状況が続いてきた。

 そのような経緯を経て、邦銀は、三菱東京UFJ銀行(当時は東京銀行)とみずほ銀行(当時は富士銀行)の2行のみがフル・バンキング免許保有のマニラ支店を開設した。そして、両行とともに3大メガバンクとされる三井住友銀行はマニラ駐在員事務所開設にとどまってきた。三井住友銀行は、当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、本店:マニラ首都圏マカティ市)と提携、メトロバンクのジャパン・デスクに人員を派遣したりしてきているが、本体の事業展開では大きなハンディを抱えるという状況が続いてきた。

 昨年7月の銀行業界における外資規制撤廃法成立により、60%という出資比率上限や10行までという外資系金融機関数制限がなくなり、外資100%出資銀行設立や現地銀行の100%買収も可能となった。したがって、三井住友銀行も、マニラ支店開設申請を行うとともに、日本人派遣社員増員、現地スタッフ拡充など支店開設準備を進め、ついにマニラ支店開設・営業開始に至ったのである。

 なお、三井住友銀行は昨年年5月に発表した中期経営計画において、10年後を展望したビジョンの一つとして、「アジア・セントリック」の実現を掲げている。「アジア・セントリック」の実現とは、アジア新興国の中長期的に高い成長性を踏まえ、アジアビジネスを最重要戦略と位置づけ、積極的な資源投入を行うことによ り、アジア屈指の金融グループとなること。