オフィス賃貸料上昇続く、需要は依然高水準

2015/08/19

マカティ高級物件、1年間で4.5%上昇との予想

 

 国際的な総合不動産 コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)は8月18日、フィリピン・マニラ首都圏の2015年第2四半期(4月~6月)の不動産市場動向及び今後の見通しを発表した。

 それによると、年内に市場へ供給される予定の新規オフィス・スペースは約58万㎡。第2四半期には主要ビジネス区で8棟のオフィスビルが完成予定であったが、完成したのはSMプライムのFive E-Com Center(パサイ市、正味利用可能面積:7万5,000㎡)とメガワールドのUptown Place Tower One(フォート・ボニファシオ、正味利用可能面積:2万7,000㎡)2棟のみ。一方、マカティ市内ではオフィスビルの新規開発は無く、オフィスの空きが少なくなると予想される。また、フォート・ボニファシオ(BGC)のオフィス需要は引き続き高い。

 マカティ中央ビジネス区(CBD)の平均賃貸料は、プレミアム物件で、前期比2.3%増の1,202ペソ/㎡、Aクラスは1.9%増の894ペソ/㎡、Bクラスは1.9%増の695ペソ/㎡であった。Bクラスの賃貸料の年間上昇率は約11%と大幅に値上がりしている。コリアーズは、今後12カ月間(16 年第2四半期)にプレミアム物件、A・Bクラスで4.5~7.8%上昇すると予想している。マカティCBDは今後数年間供給不足が予想される。

 一方、フォート・ボニファシオ(BGC)のAクラスの平均賃貸料は前期比1.6%増の871ペソ/㎡。オフィス市場は需要が継続的に高いことから、しばらくはこの上昇レベルを維持する見通し(15年8月18日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。



 マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/平米)

物件タイプ 15年1Q 15年2Q 対前期伸び率 16年2Q(予) 年間変化率予想
プレミアム 1,020~1,330 1,035~1,369 2.3% 1,099~1,413 4.5%
Aクラス 705~1,050 717~1,071 1.9% 746~1,131 5.0%
Bクラス 568~797 577~813 1.9% 606~865 7.8%

(注:正味有効面積に基づいて算出)

 マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 15年1Q 15年2Q 16年2Q(予)
プレミアム 0.4% 0.7% 1.5%
Aクラス 7.6% 6.9% 5.5%
Bクラス以下 0.8% 0.5% 0.4%
全クラス 2.2% 1.8% 1.3%



 マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(単位:平米)

地区 14年末総面積 15年供給 16年供給 17年供給 18年供給 合計
マカティCBD 2,852,613 - - - 60,200 2,912,813
オルティガス 1,298,773 81,509 47,683 14,393 32,752 1,475,109
BGC 975,157 214,604 299,748 330,385 163,173 1,983,067
イーストウッド 300,264 - - 28,220 - 328,484
アラバン 378,271 - 53,330 70,563 21,975 524,138
マンダルーヨン 284,550 - - 142,276 - 426,825
北エドサ三角地帯 318,933 33,132 115,760 - 35,618 503,443
パサイ市埋立地 186,203 74,517 72,680 72,160 42,566 448,126
その他 400,030 149,533 105,775 181,641 86,057 923,036
合計 6,994,794 553,295 694,975 839,638 442,341 9,525,043

(その他:マニラ、パサイ、マンダルーヨン、ケソン市、BGC=ボニファシオ・グローバルシティ)


 マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 15年1Q 15年2Q 対前期伸び率 16年2Q(予想) 年間変化率予想
プレミアム 14.8~16.8万 15.0~17.1万 1.8% 16.0~18.6万 10.0%
Aクラス 8.6~11.8万 8.7~12.0万 1.8% 9.3~13.0万 10.5%
Bクラス 6.2~8.5万 6.3~8.7万 2.1% 6.8~9.5万 8.6%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)