マニラ湾カジノリゾート業績不振、上半期赤字に
2015/08/14
「ソレア」運営企業13億ペソの赤字、株価11%急落
年初開業のシティ・オブ・ドリームスも大幅赤字
フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そこでは、日本のユニバーサルエンターテインメント・グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。
その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。このブルームベリーによる大型カジノ・リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)は2013年3月に開業した。
このブルームベリーが、8月13日に、2015年上半期(1月~6月)の決算速報を発表した。それによると、ブルームベリーの今上半期の純収入は 前年同期比8%増の123億ペソ。そのうち、カジノ事業純収入は同6%増の114億で純収入の93%を占めた。 昨年11月に、ソレアの新棟「スカイタワー」(312室)がオープンしたこともあって増収とはなったが一桁の伸びにとどまっている。
一方、費用は同47%増の125億ペソと、増収率を大幅に上回る伸びとなった。新棟「スカイタワー」開業費用、ソレア・コリア取得などの費用が嵩んだ。この結果、最終損益は13億ペソの赤字に転落、前年同期の23億ペソの黒字から急悪化した。ブルーンベリーの業績はほぼソレアの動向を反映している。すなわち、ソレアの相本の業績はかなり悪いといえる。
ブルームベリーの第1四半期の損益も5億3千万ペソの赤字となって市場に大きな失望感を与えたが、第2四半期は7億7千万ペソの赤字と一段と悪化したことから、カジノ業界は目先は苦しいとの印象を与えた。期待されていた中国からの訪問客も当面は景気減速などで芳しくないとの見方が拡がっている。
なお、今年2月2日には、大型カジノリゾート「シティ・オブ・ドリームス マニラ」(CDM)がグランドオープン(全面開業)した。既に、昨年12月14日にソフトオープン(部分開業)していたが、中国正月の前の全面開業となった。CDMは、SMグループ総帥ヘンリー・シー氏傘下の娯楽・不動産企業ベルコープ・グループと、オーストラリアの富豪ジェームス・パッカー氏傘下のカジノ企業メルコ・クラウン・エンターテインメント社(MCE)による合弁カジノ・リゾート施設である。
MCEはマカオのメルコ・インターナショナルと豪州のクラウンの合弁企業であり、マカオの有名カジノ 「シティ・オブ・ドリーム」の開発・運営企業である。 MCEのフィリピン法人はメルコ・クラウン(フィリピン)リゾーツ(MPC)であり、フィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。このMPCの今上半期の最終損益も49億ペソの赤字であった。そして、100人単位の人員削減に動いているとも伝えられている。
これらの動きを背景に、カジノ関連株は下落基調を辿ってきているが、8月13日のブルーンベリー赤字決算で一段安となった。特に、ブルームベリー株価はこの日一日だけで約11%急落した(15年8月13日のフィリピン証券取引所回覧04852-2015号などより)