比パナソニック堅調、15年度第1四半期22%増益

2015/08/13

純利益1億ペソ、売上高10.5%増の23億6千万ペソ
消費者製品売上高22億2千万ペソ、構成比94.5%

 

パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、8月13日に、2015年度第1四半期(4月~6月)事業報告書を提出した。

 

 それによると、PMPCの今第1四半期の売上高は前年同期比10.5%増の23億5,516万ペソに達した。堅調なフィリピンの内需、新製品投入などにより増収となった。製品別では、特に冷蔵庫、ウインド型エアコンが好調であった。   

 損益面では、原材料費上昇などで、原価率が前年同期の71.7%%から76.1%へと4.4%ポイント上昇、総利益は同6.7%減の5億6,365万ペソにとどまった。しかし、販売費用を同21.9%減の2億7,834万ペソへと節減したこと、その他収入(ネットベース)が78.6%増加したことなどから、税引き前利益は同21.9%増の1億1,933万ペソとなった。税金費用が同21.8%増加したが、純利益は同21.9%増の1億0,015万ペソへと増加した。1株当たり純利益は同26%増の0.24ペソへと拡大した。

 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同9%増の22億2,607万ペソ(構成比94.5%)に達した。同製品の粗利益は同5.1%減の5億6,566万ペソにとどまったが、税引前利益は同28.3%増の1億3,142万ペソへと増加した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同13.6%増の9,217万ペソ(構成比3.9%)、粗利益は同18.9%減の1,983万ペソであった。

 PMPCは、「2015年度(2015年4月~16年3月)はB2B(企業間取引)強化することなどで前年度比二桁増収を目指す」と表明した。14年度の売上高は約67億ペソであったことから、15年度は70億ペソを大きく上回ることになりそうである。なお、14年度の売上高のうち65%がエアコンと冷蔵庫類であった。

PMPCの2014年度主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ、参考の為再掲)

部門 GCMS(消費者製品) SNC(ビジネス製品) その他 総合計
主要製品 家電・AV等 通信・安全機器等 その他 全商品
売上高 222,607 9,217 3,691 235,516
前年同期比 9.0%増加 13.6増加 391.3%増加 10.5%増加
構成比 94.5% 3.9% 1.6% 100.0%
 
粗利益 56,566 1,983 -2,183 56,365
  5.1%減少 18.9%減少 赤字30%拡大 6.7%減少
         
税引前利益 13,142 -164 -1,045 11,933
前年同期比 28.3%増加 赤字転落 赤字15.8%減少 21.9%増加

(出所:パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの2015年株主総会通知より作成)
    GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略
    SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで50年以上もの長い歴史を有していることとなる。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2015年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。

 PMPCのPSEでの2015年8月4日終値は3.90ペソ。これをベースにすると、上場されているA株の時価総額は約3億3,042万ペソ(約9億2千万円)である。この1年間の高値は4.88ペソ、安値は3.32ペソである)。