電動三輪車入札、渦潮電機が受注へ大きく前進

2015/08/07

技術的審査に唯一合格、競合4社は失格との報道

 

 フィリピンの電動トライシクル(eトライク)導入プロジェクトがようやく離陸しつつある。

 このプロジェクトは、アジア開発銀行(ADB)などの支援によるもので、大気汚染防止と温暖ガス排出削減を目的としたものである。

 このプロジェクトの骨子は、全国で350万台以上稼働中とされているトライシクルのうち、10万台を電動トライシクルに置き換えるというもの。買い取型リース契約で10万台のE-トライクをトライシクル事業者に支給する。それにより、トライシクルの燃料消費量の2.8%(石油に換算して56万926バレル)削減を目指す。

 プロジェクト資金として、アジア開発銀行(ADB)から3億ドルの融資、クリーン技術基金(CTF)から1億5,000万ドルの融資と助成金、比政府から9,900万ドルペソが拠出される。2017年完了を目指す。

 このプロジェクトのファーストバッチ3,000台の発注先選定プロセスが非常に遅れている。昨年8月に発注先決定のための入札が実施されたが、発注先決定には至らなかった。現在、再入札プロセスが行われつつある。21グループが入札書類を購入したが、最終期限の5月までに5グループが応札(技術提案書提出)した。

 応札した5グループとは、日本の渦潮電機(本社:愛媛県今治市)グループ、台湾のテコ・エレクトリック&マシナリー、中国のMulanエレクトリック・ビークル、フィリピンCamec JCB、インベニック(中国Jiang Siu Hansenモーターとの連合)とのことである。

 8月7日付け各紙電子版によると、エネルギー省は、応札した5グループのうち、技術的審査に合格したのは、渦潮電機グループのみであったとのことである。今後、財務的提案が審査されるが、渦潮電機グループが受注に向けて大きく前進したといえよう。

 なお、渦潮電機は、フィリピンにおいて、2014年11月28日より、電動3輪車(E-Trikes、イートライクス)「68VM」の量産を開始している。車両の心臓部であるパワーコントロールユニット(PCU)の製造及び完成車検査は、現地子会社BEMACエレクトリック・トランスポーテーション・フィリピン(BEET社、本社:マニラ首都圏マカティ市)が行ない、車両組み立ては現地パートナー企業であるAlmazora Motor Corporation(本社:カビテ州)が対応する。生産能力は月産500台(年間6,000台)で、2015年7月からは、月産1,000台(年間12,000台)に引き上げる予定であると表明されている。

 量産型「68VM」のPCU部には、愛媛県との共同研究により開発した渦潮電機製電池制御システム(BMS)を搭載、またリチウムイオン電池やインバーター等の主要機器には日本製品を採用し、品質と信頼性を高めている。