通信大手2社、15年上半期業績でも明暗

2015/08/04

グローブ・テレコム最高益、PLDT小幅減益
収入や利益水準は依然PLDTが断トツ

 

 8月4日に、通信業界1位のフィリピン長距離電話(PLDT)と第2位のグローブ・テレコムが揃って、2015年2015年上半期(1月~6月)決算速報を発表した(各々の詳細は別掲)。

 グ ローブは2014年通年の決算において、収入、税金・金利・償却前利益(EBITDA)、純利益、コア純利益ともに史上最高を記録したが、2015年に入って一段と業績が向上している。2015年上半期においても業績向上ピッチに拍車がかかっており、収入、EBITDA、純利益、コア純利益ともに半期ベースでの史上最高を記録した。

 下表の様に、グローブの今上半期のサービス収入は前年同期比13%増の538億ペソ、純利益は同27%増の87億ペソ、コア純利益は同14%増の86億ペソと二桁増収増益となった。上半期末の携帯通信加入件数も前年同期末比13%増の4,835万件と二桁増加となっている。

 一方、2011年以降業績が伸び悩んでいるPLDTは、今上半期も小幅ながら減収減益と低調であった。サービス収入は同2%減の812億ペソ、特に、主力の携帯通信収入が同4%減の556億ペソと不振であった。純利益は同6%減の187億ペソ、コア純利益は同5%減の189億ペソにとどまった。上半期末の携帯通信加入件数は前年同期末比微減の6,886万件とわずかながら減少している。

 2014年や2015年上半期の増収率、増益率、携帯通信やブロードバンド加入者数増加率では、好調のグローブ・テレコムと伸び悩みのPLDTで明暗を分けている。ただし、収入や純利益規模、加入総件数などでは、依然首位のPLDTが第2位のグローブ・テレコムにかなりの差をつけている。

 2011年以前ではPLDTの絶好調さが目立つ時期もあり、現在はPLDTの業績踊り場と考えられる。PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきている。また、ディジテル買収など事業基盤強化も推進している。このような先行投資の効果が遠からず顕在化することが期待される。

 2015年上半期の通信大手2社の収益などの比較

項目 PLDT グローブ・テレコム
サービス収入 812億ペソ 538億ペソ
      対前年同期比 2%減少 13%増加
  携帯通信収入 556億ペソ 416億ペソ
      対前年同期比 4%減少 10%増加
税金・金利・償却前利益(EBITDA) 355億ペソ 214億ペソ
     対前年同期比 7%減少 19%増加
純利益 187億ペソ 87億ペソ
      対前年同期比 6%減少 27%増加
コア純利益 189億ペソ 86億ペソ
      対前年同期比 5%減少 14%増加
携帯加入件数(期末) 6,886万件 4,835万件
      対前年同期末比       微減 13%増加
ブロードバンド加入件数(期末) 486万件 347万件
      対前年同期末比 34%増加 55%増加
上半期設備投資額 139億ペソ 114億ペソ
年間設備投資予定額 430億ペソ 378億ペソ
      対前年比 36%増加 78%増加

  (出所:PLDTとグローブ・テレコムの決算速報より作成)