日本の無償協力によるイフガオ州小水力発電所竣工
2015/07/18
世界遺産の棚田保全や温暖化ガス削減に貢献へ
7月9日、ルソン島北部のイフガオ州アシプロにおいて、フィリピンにおける日本の無償資金協力事業「イフガオ小水力発電計画」にかかる発電設備の竣工式が行われ、ハバウェル・イフガオ州知事とマルコス・エネルギー省(DOE)次官、丹羽JICA所長及び在フィリピン日本大使館の鈴木書記官他が出席した。
この事業は、イフガオ州において、820kW程度の規模の小水力発電所を整備するもので、無償資金協力として総額9億2,200万円の支援を行っている。この事業の実施により、再生可能エネルギー利用が促進され、地域の観光資源である棚田の保全及び温室効果ガス排出量の削減に寄与することが期待される。
イフガオ州に位置する「コルディエラの棚田」は95年に認定されたフィリピンの世界遺産の一つであるが、近年は土砂崩壊、若者の農業離れ等により、棚田の減少に悩まされてる。イフガオ小水力発電計画による小水力発電で得られた収入の一部は、棚田保全基金へ充てられる予定である。
これらの事業は、経済発展を支えるインフラ整備という観点から気候変動の緩和にも資する案件であり、日本とフィリピンとの友好協力関係を更に増進し、また両国間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものである。
なお、フィリピンにおいて水力発電は全体の電力供給の16%を賄い、再生可能エネルギーの中では地熱発電と並ぶ主要な電力供給源となっており、今後一層の活用が望まれる。イフガオ州は豊富な水資源と落差の大きい地形が多く存在し、同国内で有数の小水力発電の候補地である。同州は山間部農業を中心とした産業構成になっており、世帯の電化率がおよそ65%と全国的にも低い水準にある。今後の電化率向上に向けて、小規模水力発電所が有効な手段として期待されている(15年7月16日の在フィリピン日本国大使館発表などより)。