日本格付研究所、フィリピンをBBB+に引き上げ
2015/07/06
投資適格最低基準よりも2段階上、A格付視野に
米国系のS&Pやムーディーズよりも一段階上に
日本格付研究所(JCR)は7月6日に、フィリピンの格付けを一段階引き上げると発表した。
具体的には、外貨建長期発行体格付とペソ建て長期発行体格付ともに、これまでのトリプルB(BBB)からトリプルBプラス(BBB+)へと引き上げられた。格付見通し(アウトルック)は 安定的とされた。トリプルBプラス(BBB+)は投資適格最低基準の2段階上であり、A格付が視野に入ったといえる。
ちなみに、世界三大格付期間の一つである米系のムーディーズ・インベスターズ・サービス (ムーディーズ)は、昨年12月11日に、フィリピンの格付を一段階引き上げ、投資適格最低基準よりも一段階上の「Baa2」とした。「Baa2」は他の格付機関のトリプルB(BBB)と同格である。ムーディーズと並ぶ有力格付機関である米系のスタンダード&プアーズ(S&P)は、昨年5月8日に、投資適格最低基準である「トリプルBマイナス(BBB-)」から「トリプルB(BBB)」へと引き上げ、投資適格最低基準を一段階上回るステータスとした。
一方、欧州系のフィッチ・レーティングス(フィッチ)は、今年3月17日に、フィリピン格付けを投資最低基準であるトリプルBマイナス(BBB-)に据え置くと発表した。すなわち、JCRのフィリピン格付はムーディーズとS&Pよりも一段階上、フィッチよりも2段階上となった。
JCRは今回のフィリピン格付引き上げの理由として①改善が進む政府財政ポジション、②良好な対外ポジション、③総じて安定した政治社会情勢、④海外労働者送金に支えられた底堅い内需と設備投資の拡大をを牽引役に比較的高い経済成長が続く可能性が高まっていることなどを挙げている。
そして、「フィリピン経済は堅調な内需を下支えに6%程度の成長を続ける可能性が高いと考えられる。経常収支は、海外労働者送金、ビジネス・プロセス・アウト・ソーシング(BPO)産業ならびに観光産業に支えられ、引き続き黒字が続くと見られる。財政面では、アキノ政権は適切な債務管理政策を堅持しつつ、内国歳入庁や関税局の改革を通じた徴税強化などにより2015年以降財政赤字をGDP比2%以内に抑制する方針であることから、政府財政ポジションは緩やかな改善傾向が続きそうである」と説明している。