比セブン・イレブン株価、10年間で200倍超に

2015/07/02

 

 フィリピンでコンビニエンス・ストア業界が順調に発展しつつある。現在は業界断トツのセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、今年3月にはローソンも フィリピン1号店をオープンした。

  首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2015年3月末現在)するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。 PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。
 
 フィリピンでのセブンイレブン第1号店は、 1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍く1996年にようやく100店体制となった。しかし、2000年の小売業 界規制緩和を契機に下表のように出店ピッチが速まり2010年に500店を突破した。そして、2013年年末には1,009店となり、1千店の大台を突破した。その後も、順調に増加、2014年末の店舗数は1,282店。

 2015年第1四半期末の店舗数は1,341店に達し、この時点でミニストップの472店、ファミリーマートの95店に大差の断トツとなっている。後続 コンビニが追撃を図ろうとしているが、セブンイレブンの動きが早く、下表のように、現時点では店舗数の差が拡大傾向にある。

 セブン・イレブンの店舗網は2012年前半まではルソン地域にとどまっていた。しかし、2012年7月31日にセブ1号店がエスカリオ・セントラルに オープンした。その後、セブ市、マンダウエ市等のセブ州、その他のビサヤ地域でも店舗展開が加速、2014年末のビサヤ地域の店舗数は計103店となって いる。内訳はセブ州で76店、東ネグロス州で17店、イロイロで10店である。
 
 そして、今年5月初旬、ダバオ市にミンダナオ島1号店をオープンした。ミンダナオ島では今年中に50店(ダバオ市周辺で30店、カガヤン・デ・オロ市周 辺で20 店)、3年内に120店オープンを目指す。さらに、世界的なリゾート地であるボラカイ島にも進出、5月29日にステーション3にボラカイ1号店をオープン した。3年以内にボラカイで11店オープンする予定とのことである。

 このようにPSCは地方でのセブン・イレブン出店を積極化させつつある。特に、マニラ首都圏に次ぐ大都市圏セブでの出店に注力し、2017年までに 200店出店を目指すとのことである。なお、2015年に全国で350~400店のオープンを予定しており、2,000店体制が視野に入ってくる。

 店舗網の拡充とともに、近年の業績は上昇基調を辿っている、最終損益は2004年の200万ペソの赤字から2005年には1,380万ペソの黒字に転 換、2008年の純利益は2005年比6.1倍の8,430万ペソへと急増した。その後の5年間の純利益も年率35%の増加が続き、2013年には6億 8,260万ペソ、2014年には8億7,330万ペソにまで拡大した。

 店舗網や業績向上を背景に、近年のPSCの株価は目覚ましい上昇を続けている。PSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場され た。長い間不人気で株価も低迷していたが、2010年台以降に大幅上昇トレンドに入った。上場後の最安値は2005年6月15日に記録した0.59ペソ(その後の4回の株式配当などを調整した数値)であったが、直近(2015年7月1日)の終値は118.50ペソであり、10年間で200倍超となった。場中の瞬間最高値は6月初めに記録した185ペソであり、底値から314倍となっている。成長期入りしたフィリピンのコンビニエンス・ストア業界で断トツの セブン・イレブンの実績が反映されているといえよう。

フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年・月末)と純利益(単位:百万ペソ)推移推移

時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3

(出所:フィリピンセブンの年次報告書やPSE取引記録などから作成)

フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア

  2010年末 11年末 12年末 13年末 14年末 14年シェア 15年3月末
セブン・イレブン 551 689 829 1,009 1,282 49% 1,341
マーキュリー・セルフサービス 287 345 606 680 700 27% N.A.
ミニストップ 332 327 337 386 454 17% 472
サンミゲル・フードショップ 13 25 60 63 49 2% N.A.
ファミリーマート - - - 31 87 3% 95
アルファマート - - - - 23 1% N.A.
サークルK - - - 2 3 0% N.A.
ローソン - - - - - 0% 1
合計 1,183 1,386 1,832 2,172 2,598 100% N.A.
(出所:フィリピン・セブン資料、ミニストップ資料などより作成、ミニストップとファミリーマート店舗数は日本側発表値)