第1四半期の経常収支黒字、2.2倍の33億ドルへ急増

2015/06/21

対GDP比4.8%、OFW送金効果で13年連続の黒字期待

 

 フィリピン中央銀行(BSP)は6月19日、2015年第1四半期(15年3月末)及び通年の国際総合収支(BOP)を発表した。

 フィリピンの貿易収支は慢性的赤字にもかかわらず、赤字額を大幅に上回る海外フィリピン人就労者(OFW)からの送金により、経常収支は黒字というパ ターンが定着している。OFW送金の威力による経常収支の黒字継続がフィリピン経済の特色であり、景気の押し上げ要因となっている。また、フィリピン格付 引き上げラッシュの大きな要素ともなってきた。

 [2015年第1四半期]
 当期の経常収支の黒字額は前年同期比121.1%増の33億0,500万米ドルに拡大した。経常収支黒字額対GNI比、対GDP比は3.9%、4.8%で、 ともに前年同期の1.9%、2.3%を上回った。海外フィリピン人就労者(OFW)送金など第二次所得収支の堅調な成長とモノ貿易収支赤字削減の相乗効果が経常収支の黒字を継続させた。 OFWの送金は5.1%増の64億1,400万米ドルであった。

 一方、国際総合収支(BOP)は8億7,700万米ドルの黒字に転換した。対GNI比、対GDP比はそれぞれ1.0%、1.3%。前年同期は44億6,400万米ドルの赤字であった。経常収支の黒字大幅増加にくわえ、 新統計表示ではマイナス勘定となる金融収支が85.2%減の6億0,600万米ドルと大幅減となりBOPの黒字転換に寄与した。


第1四半期の国際総合収支(単位:百万米ドル)

項目 2015年 2014年 伸び率(%)
経常収支 3305 1495 121.1
資本移転等収支  22 26 -12.9
金融収支(マイナス勘定) 606 2098 -85.2
誤差脱漏 -1845 -1897  2.8
国際総合収支 877 -4475 119.6

(注:2015年は速報値、2014年は改定値)


 2015年3月末現在の外貨準備高(GIR)は805億米ドルで、2014年12月末の795億米ドルを10億米ドル上回った。GIR805億米ドルは輸 入の10.6カ月分に相当する水準。また、原本ベース短期対外負債の6.1倍、残存ベース短期対外負債の4.6倍に相当する水準である。

 [国際総合収支発表について]
 中央銀行は国際収支(BOP)積み上げ方式統計に関して、2003年10月にそれまでの毎月発表から四半期毎の発表へ変更することを決定した。これは、統計内容の確認、モニター、調整を強化し、より精度の高い統計を発表することが目的である。

 ただし中央銀行は、毎月、純外貨準備高(NIR)の変動から算出した国際総合収支推計速報値を発表している。ちなみに、最新数値は、6月19日に発表された2015年5月及び年初5カ月間の速報値。それによると、5月は5,800万米ドルの赤字、年初5カ月間は11億9,900万米ドルの黒字であっ た。しかし、下表のような詳細な積み上げ方式の国際総合収支発表は四半期ベースである。


国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル)

項目 第1四半期
15年 14年 伸び率(%)
貿易・サービス・第一次所得収支 -1853 -3522 47.4
  貿易・サービス収支 -2161 -3588 39.8
     貿易収支 -4694 -5414 13.3
       対GNI比(%) -5.6 -6.8 -
       対GDP比(%) -6.9 -8.4 -
         輸出 10408 10154 2.5
         輸入 15103 15568 -3.0
      サービス収支 2534 1826 38.8
  第一次所得収支 308 66 368.4
第二次所得収支 5159 5017 2.8
経常収支 3305 1495 121.1
   対GNI比(%) 3.9 1.9 -
   対GDP比(%) 4.8 2.3 -
資本移転等収支 22 26 -12.9
 
金融収支(マイナス勘定) 606 4098 -85.2
  直接投資 395 -487 181.2
  証券投資 227 2811 -91.9
  金融派生商品 -22 -19 -16.0
  その他投資 7 1793 -99.6
 
誤差脱漏 -1845 -1897 2.8
 
国際総合収支 877 -4475 119.6
 対GNI比(%) 1.0 -5.7 -
 対GDP比(%) 1.3 -7.0 -
 
OFW送金額合計 6414 6100 5.1
 うち銀行経由分 5791 5492 5.5

(出所:BSP資料より作成、注:15年は全て速報値)


 [対外収支の長期的な動き]
 国際総合収支 は2005年以降黒字が定着。貿易収支の赤字をOFW送金が完全に埋め切り、経常収支や国際総合収支を黒字に維持するというパターンであったが、10年ぶ りに赤字に転落した。金融収支の黒字拡大(=対外投資の急増)が響いた。一方、経常収支は2003年から12年連続の黒字となっている。2015年も黒字が継続し13年連続の黒字となることが期待される。なお、長期的かつ継続的 な統計が入手不可能であるが、手許数値比較では2014年の経常収支黒字は史上最高水準となっている(15年6月19日のフィリピン中央銀行発表などより)。
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フィリピン対外収支推移(単位:百万米ドル)

04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年
貿易・サービス収支 -7461 -9113 -6595 -6142 -11725 -6728 -8231 -11492 -12747 -10647 -10977
 対GNI比 -6.6% -7.0% -4.3% -3.3% -5.3% -3.0% -3.1% -3.9% -4.3% -3.3% -3.2%
 対GDP比 -8.2% -8.8% -5.4% -4.1% -6.8% -4.0% -4.1% -5.1% -5.3% -3.9% -3.9%
経常収支 1625 1980 5341 7112 3627 9358 8922 7125 6949 11384 12650
 対GNI比 1.4% 1.5% 3.5% 3.8% 1.7% 4.2% 3.4% 2.4% 2.3% 3.5% 3.7%
 対GDP比 1.8% 1.9% 4.4% 4.8% 2.1% 5.6% 4.5% 3.2% 2.8% 4.2% 4.4%
国際総合収支 -280 2410 3769 8557 89 6421 14308 11400 9236 5085 -2858
 対GNI比 -0.2% 1.9% 2.5% 4.6% 0.0% 2.9% 5.4% 3.8% 3.1% 1.6% -0.8%
 対GDP比 -0.3% 2.3% 3.1% 5.7% 0.1% 3.8% 7.2% 5.1% 3.7% 1.9% -1.0%

(出所:中央銀行資料より作成、注: 2014年は速報値、2013年は改定値)