5カ月間で株価が4.8%上昇、5月は1.7%の調整

2015/06/01

不動産株10.9%高、持株会社7.1%高で牽引役に
ペソ対ドルで0.29%上昇、良好な基礎的要因反映

 

 2009年から14年まで6年連続で上昇しこの間の株価が約3.8倍へと急騰したフィリピン株式市場が、2015年に 入っても上昇トレンドを維持してきている。

 PSEiは、4月6日に終値ベースで初の8,000ポイント台乗せを果たし、同10日には8,127.48ポイントという終値ベースでの史上最高値を更新。年初からの累計では27回に達した。しかし、その後は調整の動きとなっている。5月は利食いの動きが強まったうえ、後半は第1四半期GDP成長率への懸念や失望で28日まで6日連続下落となった。実際にGDP成長率が5.2%と事前予想を大幅に下回る結果が発表された28日には1時7,500ポイント台を割り込み、終値も7,505.03ポイントへと下落した。ただし、最終日の29日には値頃感からの買いで大幅反発した。結局5月月間では1.74%の 下落となった。



フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末値と月末価、2015年は5月末まで)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年 5,889.83ポイント 1.33% 44.395ペソ -7.53%
2014年 7,230.57ポイント 22.76% 44.720ペソ -0.73%
2015年1月 7,689.91ポイント 6.35% 44.080ペソ 1.45%
2月 7,730.57ポイント 0.53% 44.090ペソ -0.02%
3月 7,940.49ポイント 2.72% 44.700ペソ -1.36%
4月 7,714.82ポイント -2.84% 44.520ペソ 0.40%
5月 7,580.46ポイント -1.74% 44.590ペソ -0.16%
         
5カ月間 - 4.84% - 0.29%

(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)

  この結果、PSEiの5カ月間の累計上昇率は4.84%となった。5カ月間の大分類セクター別指数の上昇率トップは不動産の10.89%。以下、持株会社の7.07%上昇、金融の1.38%上昇と続く。一方、 工業は2.57%下落、サービスは1.53%下落、鉱業・石油は10.65%下落とマイナス圏となっている。

 5カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比35.8%増の106億4,000万ペソ。そして2014年年間平均の88億ペソを大幅に上回るだけでなく非常に高水準であった2013年の約105億ペソを凌ぐ勢いである。外人の売買額シェアは49%で、前年同期の53%から低下してい る。外人は約292億ペソの買い越しとなり、5カ月間で14年の年間買い越し額約557億ペソの約52%に達している。

 5月末の時価総額は前年同月末比10.8%増の14兆5,045億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同12.1%増の12兆1,226億ペソ、外国企業時価総額が同4.7%増の2兆3,819億ペソであった。


フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 12年の上昇率 13年の上昇率 14年の上昇率 15年5月末終値 5カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 32.95% 1.33% 22.76% 7,580.46 4.84%
全株指数 21.48% -2.29% 17.99% 4,360.81 2.26%
  金融株指数 57.49% -6.42% 18.78% 1,719.58 1.38%
  工業株指数 25.48% 2.11% 37.89% 11,674.48 -2.57%
  持株会社株指数 47.01% 5.41% 16.03% 6.745.48 7.07%
  不動産株指数 55.59% -4.30% 27.42% 3,116.20 10.89%
  サービス株指数 6.70% 8.20% 13.94% 2,093.62 -1.53%
  鉱業・石油株指数 -17.43% -38.59% 32.70% 14,131.12 -10.65%

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)


フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値、15年は5月末値もしくは5カ月間累計値)

項目 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年5月
フィリピン証券取引所指数 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,230.57 7,580.46
年末時価総額(億ペソ) 60,291 88,611 86,970 109,301 119,313 142,517 145,045
  国内企業時価総額 39,919 68,922 72,390 94,163 96,452 117,128 121,226
  外国企業時価総額 20,372 19,689 14,580 15,138 22,861 25,389 23,819
1日平均売買額(億ペソ) 41.1 49.5 57.1 72.6 105.2 88.0 106.4
外人の売買額シェア 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0% 49.0% 49.0%
外人買越額(億ペソ) 149.2 356.2 565.2 1,099.8 155.9 557.2 292.3
PER(株価収益率) 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 20.13倍 N.A.

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)

 一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2015年5月末終値が1米ドル=44.590ぺソとなり、5月月間で0.16%のペソ安となった。また、5カ月間では0.29%のペソ高であり、世界的なドル高の流れの中で、フィリピンの堅調な経済成長、経常収支黒字継続、財政収支大幅改善などというファンダメンタルズの良好さを反映する展開となっている(PSEやPDSの取引記録などより)。