JICA、ミンダナオ紛争影響地域開発を継続支援

2015/05/26

道路・橋梁整備支援として11億円の無償協力

 

 国際協力機構(JICA)は、5月25日、フィリピン政府との間で「ミンダナオ紛争影響地域におけるコミュニティ開発計画」を対象として11億1,700万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結した。

 本事業は、ミンダナオ島の紛争影響地域3箇所において、農村から市場等へのアクセス道路・橋梁の整備を行うことにより、農業開発の促進を通じ住民の生活改善や生計の向上を図り、ひいては対象地域の貧困削減と平和の定着に寄与するものである。

 ミンダナオ島の南西部では、40年以上に及ぶ紛争の影響もあり、基礎的社会サービスやインフラの不足などの課題を抱えていることから、フィリピン国内でも貧困率が最も高い地域の一つとなっている。2014年3月にはフィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線双方により包括和平合意が署名され、2016年の新自治政府の設立に向けた作業が進められている。

 この自治政府設立への移行プロセスが、住民や地元関係者の理解と支持のもとに円滑に進展し、紛争影響地域に平和が定着するためには、地域住民の生活改善や生計向上に資するインフラ整備を早期に実施することが必要である。特にこの地域の主要な産業である農業に関しては、自動車の通行に支障がある道路が多いため、農村から市場までのアクセス道路の整備が緊喫の課題となっている。

 本事業により、市場までの農産物の平均運搬時間の短縮化、平均交通量の増大、住民の公共施設へのアクセス改善等が達成され、対象地域住民の生活の改善が期待される。JICAは、上記包括和平合意締結前の2003年から同地域においてODAを通じた小規模インフラ整備、農業育成、コミュニティ開発などの支援を行ってきた。今後も新自治政府の体制や制度づくり、人材の育成、地域開発計画の策定・実施支援など、引き続き同地域の平和の定着に向けて、包括的な支援を行っていく方針である(15年5月25日のJICAプレスリリースより)。