比パナソニック業績堅調、14年度は小幅増収増益に

2015/05/21

売上1.8%増の67億ペソ、純利益0.3%増の1億6千万ぺソ
消費者製品売上高63億ペソ、税引前利益48%増加

 

パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、6月19日午後5時から2015年年次株主総会を開催する。開催場所は、リサール州タイタイのPMPC本社オーデトリアム・ビルディング。その株主総会通知に記載されている2014年度(2014年4月~2015年3月)決算の内容は以下の通り。



 PMPCの2014年度の売上高は前年比1.8%増の67億1,343万ペソに達した。一昨年11月の超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)後遺症の希薄化、堅調なフィリピンの内需、新製品投入などにより増収となった。具体的には、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の売り上げが増加した。 特に上半期(4月~9月)が好調であった。   

 損益面では、原材料費上昇などで、原価率が前年の73.7%から78.8%へと上昇、総利益は同17.7%減の14億2,566万ペソにとどまった。しかし、販売費用を同30.2%減の7億0,463万ペソ、一般管理費を同4.6%減の6億2,103万ペソへと節減したことなどにより、税引き前利益は同7.7%増の2億1,695万ペソとなった。税金費用が同37.8%増加したが、純利益は同0.3%増の1億6,258万ペソと小幅ながら増加した。2013年度の93%という大幅増益決算を引き継いでの堅調な決算であったといえる。1株当たり純利益は同横ばいの0.39ペソ。設備投資額は2億0,400万ペソであった。

 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同2.5%増の63億2,544万ペソ(構成比94.2%)に達した。その税引き前利益は同48.3%増の2億3,006万ペソへと大幅増加した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同12.3%減の3億1,105万ペソ(構成比4.6%)、税引き前利益は同4.6%増の312万ペソであった。

 消費者製品、ビジネス製品ともに営業利益が増加する一方、その他部門の営業損益が1,623万ペソの赤字転落(前年は4,338万ペソの黒字)したことなどで、全体の税引き前利益は一桁増という結果となった。


PMPCの2014年度主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ)

部門 GCMS(消費者製品) SNC(ビジネス製品) その他 総合計
主要製品 家電・AV等 通信・安全機器等 その他 全商品
売上高 632,544 31,105 7,694 671,343
前年比 2.5%増加 12.3%減少 5.7%増加 1.8%増加
構成比 94.2% 4.6% 1.1% 100.0%
 
税引き前損益 23,006 312 -1,623 21,695
前年比 48.3%増加 4.6%増加 赤字転落 7.7%増加
前年実績 15,517 298 4,338 20,152

(出所:パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの2015年株主総会通知より作成)
    GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略
    SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略

 なお、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるPMPCは、フィリピン初の日系合弁家電企業であり、長い歴史を有している。

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで50 年以上もの長い歴史を有していることとなる。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.76%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2015年4月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。

 PMPCのPSEでの2015年5月21日終値は3.85ペソ。これをベースにすると、上場されているA株の時価総額は3億2,619万ペソ(約9億円)である。この1年間の高値は4.88ペソ、安値は3.37ペソである(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2014年度年次報告書などより)。