比セブン・イレブン、地方進出負担こなし13%増益に

2015/05/12

業界首位の座強固、3月末1,341店でシェア約50%
ミニストップ472店、ファミリーマート95店等と大差

フィリピンでコンビニエンス・ストア業界が順調に発展しつつある。現在は業界断トツのセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。

 

  首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.56%を所有(2014年12月末現在)するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。 PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。
 
 フィリピンでのセブンイレブン第1号店は、 1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍く1996年にようやく100店体制となった。しかし、2000年の小売業界規制緩和を契機に下表のように出店ピッチが速まり2010年に500店を突破した。そして2013年年末には1,009店となり、1千店の大台を突破した。そして、2014年末には1,282店へと増加した。

 2015年に入っても店舗数は順調に増加している。2015年3月末の店舗数は1,341店に達し、前年同月末の1,049店から292店、率にして28%の増加となっている。店舗網の拡充とともにPSCの近年の業績は非常に好調に推移している。PSCの最終損益は2004年の200万ペソの赤字から2014年には8億7,330万ペソの黒字へと10年間ドラスティックスに改善している。

 2015年第1四半期(1月~3月)のPSCの業績も堅調に推移した。全店売上高は前年比24.2%増の55億0,150万ペソ、商品売上高は同25.8%増の45億4,260万ペソ、営業利益は同13.8%増の1億6,270万ペソ、純利益は同12.9%増の1億1,290万ペソに達した。1株当たり純利益(EPS)も同12.9%増の0.25ペソであった。増益率が増収率より低かったのは、ミンダナオ進出など地方でのネットワーク構築コストが嵩んだためである。

フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年・月末)と純利益(単位:百万ペソ)推移推移

時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年3月
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,341
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 112.9

 (出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 PSCは現在、地方にも積極進出しつつある。 PSCの店舗網は、2012年前半まではルソン地域にとどまっていた。しかし、2012年7月31日にセブ1号店がエスカリ オ・セントラルにオープンした。その後、セブ市、マンダウエ市等のセブ州、その他のビサヤ地域でも店舗展開が加速、2014年末のビサヤ地域の店舗数は計103店となっている。内訳はセブ州で76店、東ネグロス州で17店、イロイロで10店である。
 そして、先週、ダバオ市にミンダナオ島1号店をオープンした。ミンダナオ島では今年中に50店(ダバオ市周辺で30店、カガヤン・デ・オロ市周辺で20 店)、3年内に120店オープンを目指す。なお、今年は全国で350~400店の新店をオープンを予定している。積極的な出店などを背景に、2015年の設備投資額は前年比50%増の30億ペソに達する見込みである。

 このような好調なセブンイレブンを後続コンビニが追撃しようとしているが、セブンイレブンの動きも早く、現時点では店舗数差は下表のように拡大傾向にある。下表のように、フィリピンのブランドコンビニエンスストア業界でのセブンイレブンのシェアは約50%と見られる。業界全体としてみれば、新規出店効果、商品構成強化、効率化、公共料金支払いやクレジットカード取り扱い拡大などによる顧客の利便性向上、コンビニの認知度の一層の高まりなどにより、順調な発展が続いていると言えよう(15年3月12日のフィリピン証券取引所回覧01187-2015号などより)。

フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア

  2010年末 11年末 12年末 13年末 14年末 14年シェア 15年3月末
セブン・イレブン 551 689 829 1,009 1,282 49% 1,341
マーキュリー・セルフサービス 287 345 606 680 700 27% N.A.
ミニストップ 332 327 337 386 454 17% 472
サンミゲル・フードショップ 13 25 60 63 49 2% N.A.
ファミリーマート - - - 31 87 3% 95
アルファマート - - - - 23 1% N.A.
サークルK - - - 2 3 0% N.A.
ローソン - - - - - 0% 1
合計 1,183 1,386 1,832 2172 2598 100% N.A.
(出所:フィリピン・セブン資料、ミニストップ資料などより作成、ミニストップとファミリーマート店舗数は日本側発表値)