4月のインフレ率2.2%、18カ月ぶりの低水準に

2015/05/05

寄与度:食料1.5%、住宅・光熱等‐0.1%、教育0.2%

  フィリピン国家統計局(NSO)発表によると、2015年4月の総合消費者物価(2006年=100)は前年同月比で 2.2%上昇(速報値)。前月から0.2%ポイント鈍化、フィリピン中央銀行(BSP)の当月予想圏内 (1.9~2.8%)にとどまった。そして2013年8月の2.1%以来18か月ぶりの低インフレとなった。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は2.5%で、前月の2.7%から鈍化した。



 4月のインフレに率低下の主要因は、食品類・非アルコール飲料や住宅・水道・光熱・燃料の価格が鈍化したこと。特に、コメ、果物、肉類、乳製品、パン、油脂類等は供給量が豊富で、価格が安定していた。また、電力料金・石油価格の継続的な下落が非食品物価を引き下げた。

 地域別で見ると、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は1.5%で前月の1.9%から0.4%ポイント鈍化。一 方、首都圏以外の地方 (地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は2.3%で、前月の2.6%から0.3%ポイント鈍化した。

 インフレ率が最も高かった地方はダバオ地方(3.6%)、次いでカラガ地方(3.3%)。セブ州など中央ビサヤ地方は2.3%。最もインフレ率が低かった地方は、北ミンダナオ地方(1.7%)、次いでカラバルソン地方(1.8%)。

 年初4カ月間(1~4月)の平均インフレ率は2.3%で、2015年政府インフレ目標圏内(2.0~4.0%)の下限に近い数値となった。平均コアインフレ率は2.5%であった。


消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 15年4月 15年3月 14年4月 15年1-4月
全国    総合インフレ率 2.2 2.4 4.1 2.3
       コアインフレ率 2.5 2.7 2.9 2.5
首都圏  総合インフレ率 1.5 1.9 3.3 1.9
地方    総合インフレ率 2.3 2.6 4.4 2.5

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

09年 10年 11年 12年 13年 14年 15~18年
インフレ目標 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%  3.0~5.0% 3.0~5.0%  2.0~4.0%
インフレ率実績 3.2% 3.8% 4.6% 3.2% 3.0%   4.1% -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 14年 15年
14年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
総合 4.1 4.1 4.5 4.4 4.9 4.9 4.4 4.3 3.7 2.7 2.4 2.5 2.4 2.2
食料品・非アルコール飲料 6.7 6.2 6.7 7.4 8.2 8.3 7.4 7.0 6.5 5.5 5.4 4.8 4.3 3.9
酒類・煙草 5.2 4.1 4.0 3.7 3.5 3.5 3.5 3.5 4.1 4.0 4.1 3.9 3.9 3.9
衣料・靴類 3.5 3.3 3.4 3.4 3.3 3.4 3.6 3.4 3.5 3.5 3.2 3.1 3.0 2.8
住宅・光熱・燃料 2.3 3.1 3.7 2.3 2.4 2.7 2.2 2.4 0.3 -1.6 -2.1 -1.1 -0.2 -0.5
家庭用品・営繕 2.7 2.4 2.5 2.6 2.6 2.7 2.8 2.8 2.7 2.6 2.4 2.2 2.1 2.3
健康・医療 3.3 3.0 3.0 3.0 3.2 3.3 3.5 3.5 3.5 3.1 2.7 2.7 2.5 2.3
交通・輸送 0.9 1.3 1.5 1.3 1.5 1.1 0.7 0.8 0.2 -1.0 -1.3 -0.5 -0.2 -0.2
通信 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 -0.1 -0.1 -0.1
娯楽・文化 1.9 2.4 2.3 1.2 1.3 1.3 1.5 1.5 1.5 1.4 1.2 1.2 1.1 1.1
教育 4.9 4.7 4.7 5.0 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1
外食・サービス他 1.9 2.0 1.9 1.9 1.8 1.7 1.8 1.7 1.8 1.8 1.6 1.5 1.5 1.2
首都圏 3.2 3.3 3.8 3.6 3.9 4.4 3.5 3.6 2.4 1.6 1.5 2.2 1.9 1.5
 地方 4.5 4.4 4.7 4.7 5.1 5.0 4.7 4.5 4.0 3.0 2.7 2.6 2.6 2.3



食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
14/4月 6.5 12.1 4.9 5.8 8.2 3.4 5.0 2.5 3.4 9.7 3.6 6.5
5月 7.1 12.9 5.6 6.1 8.4 4.0 5.6 2.8 5.1 10.3 4.3 9.1
6月 7.8 13.6 7.2 4.6 12.4 4.6 5.4 3.1 6.1 10.8 6.4 10.3
7月 8.7 14.4 7.8 5.8 16.1 5.1 5.8 3.6 7.0 11.5 7.1 10.0
8月 8.7 13.2 9.1 8.3 15.0 5.9 6.4 4.2 7.5 10.7 7.5 9.6
9月 7.8 10.7 8.3 10.0 9.8 5.9 6.6 4.5 7.5 8.8 7.8 10.5
10月 7.2 10.9 8.3 11.3 5.8 5.5 5.9 4.8 7.2 9.0 7.0 8.6
11月 6.7 10.6 6.7 11.1 3.9 5.2 5.4 5.0 6.7 8.7 6.1 7.8
12月 5.7 9.5 4.8 10.6 1.0 5.0 4.5 4.9 4.8 7.7 4.6 6.3
15/1月 5.6 8.6 3.9 11.7 2.1 4.8 4.9 4.6 3.2 6.9 4.3 5.0
2月 4.9 7.2 2.4 11.4 -0.3 4.4 5.3 4.5 2.8 5.8 3.7 4.6
3月 4.4 5.6 0.9 11.1 1.5 3.7 5.3 4.1 2.1 4.5 3.3 4.7
4月 4.0 4.6 0.8 10.9 2.0 2.2 6.1 3.8 1.7 3.7 3.9 4.5

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2015年4月の総合インフレ率(2006年=100)2.2%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.5% (うち食料品1.5%)、住宅・光熱・燃料-0.1%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。

 4カ月間平均インフレ率2.3%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.8% (うち食料品1.7%)、住宅・光熱・燃料-0.2%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%などである。

 中央銀行(BSP)は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(15年5月5日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。

 

15年4月及び年初4カ月間のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 4月 1-4月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 2.2 2.2 2.3 2.3
食料品・非アルコール飲料 38.98 3.9 1.5 4.6 1.8
   うち食料品のみ 36.29 4.0 1.5 4.8 1.7
酒類・煙草 2.00 3.9 0.1 4.0 0.1
衣料・靴類 2.95 2.8 0.1 3.0 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 -0.5 -0.1 -0.9 -0.2
家庭用品・営繕 3.22 2.3 0.1 2.3 0.1
健康・医療 2.99 2.3 0.1 2.5 0.1
交通・輸送 7.81 -0.2 0.0 -0.5 0.0
通信 2.26 -0.1 0.0 -0.1 0.0
娯楽・文化 1.93 1.1 0.0 1.2 0.0
教育 3.36 5.1 0.2 5.1 0.2
外食・サービス他 12.03 1.2 0.2 1.5 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)