ナショナル・ブックストアの裏口上場、来年に実現か

2015/04/30

 有力書籍チェーンを展開するナショナル・ブックストア(NBS)は、フィリピン証券取引所(PSE)への裏口上場(バックドア・リスティング)を2014年第1四半期中にも完了する計画であった。

 未上場企業であるNBSは、PSE上場の鉱山企業バルカン・インダストリアル&マイニング(バルカン鉱業)を活用して、裏口上場を行う意向である。

 バルカン鉱業は2013年4月開催の年次株主総会において、授権資本額の6億ペソから40億ペソへの6.7倍増額を承認した。そして、NBSグループに対する約30億ペソの割当増資、NBSグループからの約3億6千万ペソの前受金の株式への転換も承認した。これらが完了すると、NBSがバルカン鉱業の大株主となる。

 バルカン鉱業は全国各地に採掘権を有しているが、現行事業は小規模であり、鉱業からの撤退、新事業への参入などを検討してきた。一方、NBSは非上場な がら有力企業である。そして、NBSとバルカン鉱業が合併(実質的にはNBSによる買収)、存続会社を上場ステータスのあるバルカン鉱業とし、自動的に NBSの書籍販売事業のPSE上場が実現することになる。

 すなわち、有力非上場企業であるNBSが、上場企業のバルカン鉱業を活用した裏口上場を行う計画である。すでに、NBSのアルフレッド・ラモス社長が、バルカン鉱業の会長兼社長にも選出されている。

 しかし、4月30日付け各紙電子版によると、上記のバルカン鉱業の授権資本大幅増額やNBSグループへの割当増資などに関して、証券投資委員会(SEC)の承認が遅れている。NBSのラモス社長は「裏口上場実現は2016年にずれ込むことになろう」とコメントしたとのことである。

 なお、小規模や半休眠の上場会社が多く存続してきたフィリピンでは、それらを活用した非上場企業の裏口上場がしばしば見られている。最近の例としては、 フィリピン航空持株会社PALホールディングス、不動産企業センチュリー・プロパティ―ズ・グループ(CPG)、カジノ企業ブルームベリー・インベストメ ント・ホールディングス(ブルームベリー)、学校チェーンのSTIエドケーション・サービス・グループ(STI)、洋酒のエンペラドール、飲料関連持株会社のマッケイ・ホールディングス、鉱業のグローバル・フェロニッケルなどが挙げられる。