フィリピンの観光新素材、プエルト・プリンセサ
2015/04/30
日本フィリピン観光評議会(JPTC)が視察旅行
観光・旅行関連情報企業であるトラベルビジョン(本社:東京都千代田区)が、そのウエブサイトに『読者レポート:フィ リピンの「新素材」、プエルト・プリンセサ』を掲載した。筆者は土橋告氏(サンヨーインターナショナル代表取締役、日本フィリピン観光評議会会員-ファムツアー実施当時)である。その概要は以下のとおり。
フィリピンは7107の島からなる島嶼国であり、アジアとしては特異な歴史と文化を持ち、多くのデスティネーションに恵まれている。2014年の日本人入国者数は13年比6.93%増の46万3744人と堅調に推移。一昨年来の各航空会社の増便や新規就航などでその増加に拍車がかかっている。しかし、旅行会社のパッケージツアーを見ると、その多くがマニラとセブ、そして一部にボホールとボラカイを販売している程度で、バリエーションは少ない。その最大の理由として挙げられるのが、ツアーの可能性は認められながらも、実際のところマニラとセブ以外を知る業界人が少ないことであろう。
こうした状況を踏まえ、日本フィリピン観光評議会(JPTC)は新たなデスティネーションの紹介をはかり、2月27日から3月2日、フィリピン航空(PAL)の協力でパラワン島のプエルト・プリンセサへのファムツアー(観光振興のための旅行関係者の現地視察)を実施。旅行会社3社、ホテル2社から5名が参加した。
パラワン島は南シナ海とスル―海に挟まれた細長い島。長さ400キロメートルで、「フィリピン最後の秘境」とも言われる。今回のファムツアーの実施先と して、数あるデスティネーションの中でJPTCがプエルト・プリンセサを選んだ理由は以下の3点である。
1.世界遺産に認定されたプエルト・プリンセサ地下河川国立公園の訴求力
2.スバンとホンダベイの美しい海
3.日本から往復ともにマニラでの同日接続が可能
実際、プエルト・プリンセサには世界中から旅行者が訪れ、セブではあまり見かけない欧米人も多く見かける。しかし、フィリピン入国者数第3位の日本人は極めて少なく、パッケージツアーは皆無である。プエルト・プリンセサ周辺の主な見どころなどは以下のとおり。
1.世界遺産の地底河川国立公園
この世界最長の地下河川の全体の長さは8.2キロメートルにも及ぶが、旅行者が入れるのはその内の手前1.5キロメートルまで。1つのボートに10人が乗り、船頭のガイドを聞きながら約45分間のクルーズを楽しむ。ガイドの案内は英語だが、日本語を含む多言語のオーディオガイド機貸出サービスもおこなっており、便利だ。ここは徹底した環境保全がはかられており、全域が禁煙。周りではサルやトカゲなど野生動物が徘徊するが、餌を与えるのは厳禁。朝の空いている時間帯であれば、バンカボードでの移動を含め2時間から2時間半ほどをかけてツアーを楽しむこともできる。
2.ホンダベイ
ホンダベイ(スル―海側)のピアは市内より30分ほどに位置し、スバンへの途上にある。ミニ・モルジブと呼んでも良さそうな小さな島々が点在し、美しい サンドバンクやシュノーケルやダイビングが楽しめる場所だ。
ビーチは白砂で、太陽の日を反射させ目に眩しいくらい絵になる美しさだ。ソフトコラールが群生するシュノーケルにもってこいのポイントが4ヶ所ほどある。
3.プエルト・プリンセサ
まずはプラザ・クアテルとイマキュレイ・コンセプション教会。教会はプエルト・プリンセサでは一番大きな教会で美しい。カソリック国であるフィリピンは、常に教会を中心として町が作られていく。
また、ワニの研究所「クロコダイルファーム」はれっきとした研究機関である。国際協力機構(JICA)により設立、以後フィリピン側に移管された。ワニ の研究においては世界有数レベル。他にパラワンの固有種の動物たちにも出会え、市内では一番の人気観光地のようだ。このほか、「イワヒグ刑務所」がある。 世界的に有名な塀のない刑務所で、観光場所として開放されている。さらに、ミトラ牧場が高台にあり、ホンダベイの島々を眺めることができる。
フィリピンでは昨今の経済成長で地方都市にも開発の波は押し寄せてきており、プエルト・プリンセサでも国際レベルのショッピングモールや洒落たレストラ ン、新しいホテルなども次々にオープンしてきている。ローカル色を残しつつ不自由さを感じさせない滞在が可能だ。また、現地の旅行会社もよく組織化され、オペレーションも共通化されているようで、ファムツアーの参加者からは「ある意味ハワイのような手配が可能」との声があがった。なお、今回のツアーの成果としてJPTCではプエルト・プリンセサの販売マニュアルを作成。今後活用していく方針とのことである(15年4月28日のトラベルビジョンニュースより)。