港湾業務最大手ICTSI、沖縄那覇港から撤退

2015/04/29

那覇国際コンテナターミナル社株式60%売却

 

 フィリピンの港湾業務最大手インターナショナル・コンテナー・ターミナル・サービス(ICTSI)は積極的に海外進出している。

 ICTSIは1987年の設立から現在に至るまで順調に業績を伸ばしており、これまでにフィリピン国内のほか、アルゼンチン、サウジアラビア、タイ、ブラジル、ポーランド、マダガスカル、中国、北米等で事業展開し豊富な国際経験を有しており、沖縄県那覇港でも事業展開してきた。

 ただし、進出先事業が不採算だったり事業環境が悪化した場合などは撤退というケースもある。例えば、2012年末には内戦状態のシリア・タルトゥース港コンテナー・ターミナルの運営・管理・維持・金融・改修・開発契約を破棄、シリアから撤退している。2014年にはインドのタミル・ナドゥ州のカトゥパリ 港からの撤退を決定した。

 そして、このほど沖縄県那覇港からの撤退を決定した。具体的には那覇国際コンテナターミナル社(NICTI、本社:沖縄県那覇市、資本金:1億5,000万円)の株式9万株(60%相当)売却する。1株当たり売却価格は1,189円、売却手取り額は1億0,530万円となる。この株式売買契約は4月27日に行われた。

 NICTIは、日本で初めて構造改革特別区域法に基づく「特区制度」(2002年10月改正施行港湾法に規定される「特定埠頭の運営事業」として継承)を活用し、2006年1月1日から10年間、那覇港公共国際コンテナターミナルの管理運営を那覇港管理組合との契約のもと事業運営を開始した。現在、ICTSIが60%出資、地元港運事業者等が40%を出資している。具体的事業内容は以下のとおり。

1.那覇港公共国際コンテナターミナル9号・10号施設の運営及び維持管理
(荷役中のアテンド業務、ガントリークレーンの月例点検・年次点検・性能検査
消耗品の交換及びコンテナターミナル内の電気設備一般管理業務)
2.ターミナル施設の賃貸
(岸壁・ガントリークレーン・リーファプラグ施設・ヤード)

 NICTIの事業期間は2006年1月1日から10年間であり、今年末で一応終了となる。ICTSIは、NICTIの事業期間更新には関心を有しておらず、上記のように、保有NICTI株式60%を全て売却し那覇港事業から撤退することを決定した(15年4月28日のフィリピン証券取引所回覧 02146-2015号などより)。