富士通とGMS、フィリピンの電動三輪車普及促進
2015/04/10
クラウドサービスと遠隔車両制御システムの連携
自動車ICTを中心とするベンチャー企業のグローバル モビリティ サービス(GMS、本社:東京都千代田区)と富士通(本社:東京都港区)は、フィリピンでのICTを活用した電動三輪タクシーの普及に向けて、サービス拡充のための実証を開始する。
GMSは、これまで、遠隔車両制御システム、課金認証システム、盗難抑止システムなど独自のセンシング技術とICT技術を活用した電動三輪タクシーにお いて、2014年9月から2015年1月にかけてマニラ首都圏で実証実験を行い、今春から実サービスの運用を開始。
今回、GMSのシステムと、富士通の位置情報活用クラウドサービス「FUJITSU インテリジェント ソサエティ ソリューション スペーシオウル(SPATIOWL)を連携することで、バッテリーの残量と消耗具合から走行可能距離を導き出す機能や給電スポットまで誘導するサービス、 電力消費量の少ないルートを案内するサービスなどを可能とする実証実験を、2015年秋よマニラ首都圏で行う。その後、GMSが今春から運用しているサービスにこれらの機能を拡充させ、2016年度中にフィリピンで展開していく。
これにより、GMSと富士通は、フィリピンにおける電動三輪タクシーの普及を支援し、環境改善や利便性向上に貢献していく。また、両社は今後、電動車両の市場の拡大が見込まれる東南アジアおよび中国でのサービス展開も検討していく。
フィリピンでは、ガソリンを燃料とする既存三輪タクシー(トライシクル)が生活者の移動手段として定着しており、同国内に350万台以上存在する。そのため、大気汚染問題が深刻化し、フィリピン政府は排気ガスを出さない10万台の電動三輪タクシーの導入を推進しつつある。また、同様に他の東南アジア諸国でも電動車両の普及に向けた機運が高まっている。
しかし、フィリピンの三輪タクシードライバーは低所得者層に位置づけられ、電動三輪タクシーを購入したくても与信審査が通らないという現状が存在する。 GMSは、そのような問題を解決すべく、フィリピン内において安心して車両を貸し出せる、与信審査が不要な電動車両提供サービスの展開を目指している。
GMSでは、車両に搭載するだけで遠隔からの走行制御を可能にするモビリティークラウドコネクティングシステムを開発し、車両の現在位置の把握や、利用料金の支払いに滞りが生じた際に走行を遠隔で停止させることなどが可能なモビリティサービスの実証実験を、2014年9月から2015年1月にマニラ首都圏にて行った。その後、フィリピンの有力なインフラ企業や三輪タクシー組合、フィリピン最大都市である ケソン市と、このサービスを搭載した電動車両の大量導入に関する合意締結を結び、今春からビジネスを展開していく。
今回、GMSのモビリティサービスと、富士通の位置情報活用クラウドサービス「SPATIOWL」を連携させることで、バッテリーの残量や使用年数から導き出した残りの走行可能距離や最適な給電スポットの情報をドライバーに知らせるサービスなどを提供することで、電池切れのリスクを回避することができ る。また、SPATIOWLに蓄積される電動三輪タクシーの走行データ、バッテリー状態情報、道路整備状況や気候などの情報を用いて、道ごとの電力消費率を表す電費マップを作成し、電力消費の少ないルートを案内することも可能になる。さらに、バッテリーの状態変化や、モーターの回転数といった車両状態の情報を蓄積することで、経年劣化を抑える使い方や、車両故障を未然に予知する分析なども行えるようになる。
これにより、GMSと富士通は、電動三輪タクシーの利便性向上に加え、電動三輪タクシー自体の品質向上にも寄与していく。電動三輪タクシーの普及促進につながるサービスを提供することで、フィリピンの大気汚染の改善や、安価な電気を利用することによるタクシー組合の利益向上を実現していく(15年4月9 日のグローバルモビリティサービスのプレスリリースより)。