対アキノ大統領満足度急落、就任後の最低記録更新

2015/04/05

第1四半期の純満足度11%(前期39%、1年前45%)
ルソン地方ではマイナス3%、首都圏では7%に縮小

 

フィリピンの有力民間調査機関ソーシャル・ウェザー・ステーション(SWS)は、4月6日、SWSのウエブサイトにおいて、「大統領に対する国民の満足度調査」2015年第1四半期(1月~3月)版の結果を発表した。この結果は、提携メディアのビジネス・ワールド紙4月6日版にも掲載されている。



 この調査は、2015年3月20~23日、マニラ首都圏、ルソン、ビサヤ、ミンダナオの成人合計1,200人を対象に、対面方式で実施された。SWSのウエブサイトには、現在のアキノ大統領の母親のコーリー・アキノ大統領からの歴代の大統領に対する満足度が掲載されている。相対比較では、現アキノ大統領への満足度が高く、アロヨ前大統領への満足度が非常に低い。アロヨ前大統領の就任期間の大半(2004年から2010年6月)で純満足度がマイナス継続、2010年第1四半期にはマイナス53%まで低下したことが目立つ。
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 現アキノ大統領への満足度は、2010年平均62%、2011年平均53%、2012年平均53%、2013年平均55%と総じて高水準で推移してきたが、2014年第2四半期に優先開発補助金疑惑が政界を揺るがすスキャンダルに発展したことなどを背景に26%へ急低下、2014年平均では36%へと低下した。

  2015年第1四半期は、ミンダナオでのテロリスト追撃作戦が不手際であったという指摘・批判などにより純満足度が一段と低下した。今第1四半期のアキノ大統領に対して満足という回答比率は47%にとどまり、前期(2014年第4四半期)の63%から16%ポイント低下した。一方、大統領に不満足との回答比率は36%で、前期の21%から12%ポイント上昇した。この結果、満足から不満足を引いた純満足度は11%となり、前期の39%、前年同期の45%から急低下、現アキノ政権発足以来の最低記録であった2014年第2四半期の26%をも大幅に下回った。

 純満足度を地域別で見ると、マニラ首都圏7%(満足45%、不満足38%)、ルソン(首都圏除く)地方マイナス3%(満足40%、 不満足43%)、ビサヤ地方30%(満足57%、不満足27%)、ミンダナオ地方25%(満足55%、不満足29%)であった。マニラ首都圏では満足と不満足の比率が急接近、ルソン地方では純満足度がマイナスに転落、アキノ大統領に対する見方がかなり厳しくなっている。

 なお、別の民間調査機関パルス・アジアが3月17日に発表した大統領信任度全国調査において、アキノ大統領に対する国民の信任度は36%で、前回調査(14年11月)の56%から20%ポイント急落した。また、「不信任」が27%(同13%)、「わからない」が37%(前回 31%)でそれぞれ昨年11月を上回った(15年4月6日のソーシャル・ウェザー・ステーション発表などより)。