比で地デジ日本方式活用の渋滞情報配信システム

2015/02/27

 総務省、新興国の交通渋滞緩和のための実証実験

 

 日本総務省は、日本方式による地上デジタル放送(地デジ日本方式、ISDB-T)の利点を活かした交通渋滞の情報配信システムの実証実験をフィリピンで実施する。そのための2015年度に実施する調査事業の実施者の公募を開始した。



 新興国では、経済発展に伴う自動車の増加により、都市部での交通渋滞が年々激化している。そのため、ドライバーが最新の渋滞状況を容易に把握できるICTシステムの利用に対して強いニーズがある。日本では、渋滞情報をFM多重放送等で送信し、カーナビゲーションで情報表示するVICS(Vehicle Information and CommunicationSystem)が既に実用化されている。

 一方、地デジ日本方式(ISDB-T)は、放送によって情報を広範囲に伝達する機能(データ放送)があり、防災分野や高度道路交通システム(ITS)、電子政府、遠隔教育等、新興国が抱える社会課題の解決に貢献することができる。
  
 このため、地デジ日本方式を採用したフィリピンにおいて、データ放送を活用した渋滞情報配信システムの導入可能性を調査することで、フィリピンでの地上デジタルテレビ放送の普及及び渋滞情報配信システムの導入を推進し、日本のICT分野の国際競争力の強化を目指す。

 <調査事業の内容(予定>)
① フィリピンにおける渋滞情報配信システムの現地ニーズ
② システムモデル及びビジネスモデルのあり方
③ マニラ首都圏での実証実験 等

 調査事業は2015年度事業(単年度)として実施する。公募に関する詳細は総務省調達情報(
http://www.soumu.go.jp/menu_sinsei/cyoutatsu/index.html)にて。実証実験はフィリピンの国営放送(People’s Television)と協力して行う予定である。

 なお、フィリピンのテレビ放送も、地上デジタル放送(地デジ)時代を迎えつつある。既に日本方式(ISDB-T)の採用が正式決定されており、フィリピン通信委員会(NTC)は昨年12月に、回覧07-12-2014号において、 フィリピンにおける地デジ導入に関するガイドラインを正式に発表、フィリピンにおける地デジは全て日本方式で統一すると明言した。そして、最大のテレビ局であるABS-CBNが、2月11日から、地デジ放送サービスを開始した。日本以外のアジアでは初となる日本方式によるデジタルテレビ放送である。


 
 地デジ日本方式は、ワンセグ放送によって移動中や安定的な電力供給が困難な地域であってもテレビ視聴が可能となる。また、テレビを通じて文字やイラスト を用いた情報伝達(データ放送)が可能であることから、電子政府や遠隔教育、災害対策に活用することでフィリピンが抱える社会課題の解決に貢献することが期待さ れている(15年2月27日の日本総務省発表より)。