第4四半期の消費者景況感、世界2位、ASEAN首位

2015/01/28

120ポイントに、前期(115)比では世界最高の伸び

 マーケティングリサーチと分析において世界最大級の企業であるニールセンは、2014年第4四半期(10-12月期)の「消費者景況感および消費意向に関するグローバル調査」の結果を発表した。


 これによると、世界で最も楽観的な上位10カ国に東南アジアの4カ国が含まれており、同地域の消費者景況感は引き続き高水準を維持していることが判明した。また今回の調査では、東南アジアの調査対象6カ国のうち5カ国で景況感指数が100ポイントを上回った。消費者景況感指数は100を基準とし、これより高い場合は楽観的、低い場合は悲観的と読み取ることができる。

 フィリピンの消費者景況感指数は120ポイントでインドネシアと並び世界第2位となった。フィリピンは前四半期の115ポイントからは5ポイント増で伸び率は世界最高となった。一方、インドネシアは前四半期比5ポイント低下した。タイは111ポイントで世界第5位(前四半期2ポイント減)、ベトナムは106ポイント(同4ポイント増)、シンガポールは100ポイント(同3ポイント減)と、各国とも消費者は比較的前向きなようである。一方、マレーシアの消費者景況感指数は前四半期比10ポイント減と四半期あたりの下げ幅で世界最大を記録し、世界平均の96ポイントを7ポイント下回る89ポイントとなった。また、日本も前四半期比4ポイント減の73ポイントであった。
 
 一方、東南アジアの消費者の最大懸念は引き続き経済情勢で、東南アジア地域全体では5人に1人(18%)が今後半年間に最も心配することに挙げている。特にタイ(49%)とマレーシア(38%)の消費者の間では経済に対する不安が強く、インドネシア(33%)とべトナム(28%)がこれに続く。日本は世界平均と同じ25%でした。一方、フィリピンでの最大の懸念は雇用の保障であった。

 東南アジアにおける貯蓄率は世界最高の水準にあり、世界平均の48%を大幅に上回る69%が余ったお金を貯蓄に回している。世界で最も貯蓄率が高いのはベトナム(77%)で、インドネシアも第3位(70%)に入る。さらにマレーシア(67%)、フィリピン(63%)、タイ(63%)、シンガポール(62%)が僅差で続いている。日本は58%であった。

 貯蓄以外には、マレーシア(33%)、インドネシア(32%)、タイ(30%)で3人に1人が余ったお金を株式/投資信託に振り向けている一方、フィリピン(32%)やシンガポール(31%)の消費者は借金やローンの返済に充てている。また、余剰資金を退職後の生活費として積み立てている人はシンガポールで24%、マレーシアで22%にのぼり、世界平均(11%)のおよそ2倍の高さである。

 しかし経済的な安定が主な関心事でありながらも、休暇に金を惜しまずに使う消費者はシンガポールで5割(49%)、タイ(44%)、インドネシア(40%)、ベトナム(40%)およびマレーシア(39%)で約4割に達している。日本も36%であった。さらに、フィリピンとベトナムでは消費者の3人に1人(ともに35%)が余ったお金を新しい衣類の購入に充てている。

 今回の調査では東南アジア6カ国中4カ国(タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム)で、自国の景気が後退局面にあると捉えられており、タイ(88%)、ベトナム(86%)、マレーシア(85%)、インドネシア(80%)、フィリピン(80%)では8割以上の消費者が、日常の消費を抑えるために昨年の同時期と比べてお金の使い方を変えたと答えている。

 マレーシア(65%)とフィリピン(62%)では6割以上が新しい衣類の購入を控え、ベトナムで60%、タイとマレーシアでそれぞれ56%が家庭外での娯楽を控えていると回答している。その他消費者が取り入れている節約の手段としては、PCや携帯のアップグレードを延期する、手頃な価格の食料雑貨ブランドに変更、光熱費の節約、長期・短期休暇を減らす、などが挙げられた。

 なお、ニールセン 消費者景況感および購買意向に関するグローバル調査は2005年に開始され、60の国と地域で30,000人以上のインターネット利用者を対象に消費者マインド(楽観的・悲観的)、懸念点、消費意識をアンケートの回答結果から数値化している。オンラインによるアンケート方式では、世界各地から驚異的な規模で回答が得られるものの、その回答者はインターネットユーザーに限られ、総人口が反映されるものではない。新興市場ではインターネット普及率はまだ低く、比較的豊かな若年層の利用者が多い状況であることに留意する必要がある(15年1月28日のニールセン・カンパニー合同会社ニュースリリースより)。