12月のインフレ率2.7%、15カ月ぶりの低水準

2015/01/07

14年平均4.1%で目標(3~5%)達成、コア3%
寄与度:食料2.6%、住宅等0.5%、教育0.2%

 

 フィリピン国家統計局(NSO)発表によると、2014年12月の総合消費者物価(2006年=100)は前年同月比 で 2.7%上昇(速報値)した。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は2.3%と前月から0.4%ポイント鈍化した。

 12月のインフレ率は前月から1.0%ポイント低下、フィリピン中央銀行(BSP)の当月予想圏内 (2.4~3.2%)に収まると共に、今年最低となった。また、2013年9月の2.7%以来、15カ月ぶりの低インフレとなった。

 全国的にみると、2014年は7、8月の4.9%をピークにインフレ率の鈍化傾向が続いている。12月のインフレ率鈍化の主因は、豊富な国内供給量によ る食品価格の鈍い上昇ペース、灯油・LPG(液化石油ガス)・ディーゼル油・ガソリンの値下がり及び電力卸売りスポット市場における発電料金の下落による 非食品価格の低下など。

 インフレ率を地域別で見ると、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は1.6%で前月(2.4%)から0.8%ポイント低下。一 方、首都圏以外の地方 (地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は3.0%で、前月(4.0%)から1.0%ポイント低下した。

 インフレ率が最も高かった地方は東ビサヤ地方(4.1%)、次いでサンボアンガ半島(4.0%)。セブ州など中央ビサヤ地方 (3.9%)、ソックサルジェン地方(3.9%)であった。最もインフレ率が低かった地方は、マニラ首都圏(1.6%)、中央ルソン地方(1.9%)、カ ガヤン・バレー地方(2.1%)であった。

 2014年通年の平均総合インフレ率は4.1%で、6年連続して政府インフレ目標(3.0~5.0%)圏内に収まった。平均コアインフレ率は3.0%であった。 



 消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 14年12月 14年11月 13年12月 14年年間
全国    総合インフレ率 2.7 3.7 4.1 4.1
       コアインフレ率 2.3 2.7 2.8 3.0
首都圏  総合インフレ率 1.6 2.4 2.6 3.2
地方    総合インフレ率 3.0 4.0 4.6 4.5

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)



 総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
平均インフレ率 3.8 4.6 3.2 3.0 4.1

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年 2015~16年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 9.3% 3.2% 3.8% 4.4% - -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


 総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 14年  
14年 13年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月  12月
総合 4.1 3.0 4.2 4.1 3.9 4.1 4.5 4.4 4.9 4.9 4.4 4.3 3.7  2.7
食料品・非アルコール飲料 6.7 2.8 5.5 5.5 5.8 6.2 6.7 7.4 8.2 8.3 7.4 7.0 6.5  5.5
酒類・煙草 5.2 29.8 17.6 7.1 4.9 4.1 4.0 3.7 3.5 3.5 3.5 3.5 4.1  4.0
衣料・靴類 3.5 3.6 3.4 3.7 3.7 3.3 3.4 3.4 3.3 3.4 3.6 3.4 3.5  3.5
住宅・光熱・燃料 2.3 1.7 3.4 3.6 2.7 3.1 3.7 2.3 2.4 2.7 2.2 2.4 0.3  -1.6
家庭用品・営繕 2.7 3.3 2.6 2.8 2.8 2.4 2.5 2.6 2.6 2.7 2.8 2.8 2.7  2.6
健康・医療 3.3 3.0 3.2 3.3 3.3 3.0 3.0 3.0 3.2 3.3 3.5 3.5 3.5  3.1
交通・輸送 0.9 0.6 1.2 1.0 1.0 1.3 1.5 1.3 1.5 1.1 0.7 0.8 0.2  -1.0
通信 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.1 0.1  0.1
娯楽・文化 1.9 2.3 2.5 2.5 2.4 2.4 2.3 1.2 1.3 1.3 1.5 1.5 1.5  1.4
教育 4.9 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 5.0 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1  5.1
外食・サービス他 1.9 2.4 2.2 2.2 2.0 2.0 1.9 1.9 1.8 1.7 1.8 1.7 1.8  1.8
首都圏 3.2 1.6 2.7 2.8 2.9 3.3 3.8 3.6 3.9 4.4 3.5 3.6 2.4  1.6
 地方 4.5 3.3 4.6 4.5 4.2 4.4 4.7 4.7 5.1 5.0 4.7 4.5 4.0  3.0



 食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
12月 5.0 9.2 3.8 4.3 9.8 2.3 3.3 1.7 -1.9 7.4 0.1 3.6
14/1月 5.7 10.0 3.3 4.2 12.1 2.6 4.3 2.0 0.4 8.0 2.0 3.8
2月 5.9 10.7 3.0 5.5 12.0 2.6 3.9 2.3 1.2 8.4 2.4 3.9
3月 6.0 11.8 4.5 5.8 8.7 2.9 3.9 2.4 2.2 9.4 3.1 4.7
4月 6.5 12.1 4.9 5.8 8.2 3.4 5.0 2.5 3.4 9.7 3.6 6.5
5月 7.1 12.9 5.6 6.1 8.4 4.0 5.6 2.8 5.1 10.3 4.3 9.1
6月 7.8 13.6 7.2 4.6 12.4 4.6 5.4 3.1 6.1 10.8 6.4 10.3
7月 8.7 14.4 7.8 5.8 16.1 5.1 5.8 3.6 7.0 11.5 7.1 10.0
8月 8.7 13.2 9.1 8.3 15.0 5.9 6.4 4.2 7.5 10.7 7.5 9.6
9月 7.8 10.7 8.3 10.0 9.8 5.9 6.6 4.5 7.5 8.8 7.8 10.5
10月 7.2 10.9 8.3 11.3 5.8 5.5 5.9 4.8 7.2 9.0 7.0 8.6
11月 6.7 10.6 6.7 11.1 3.9 5.2 5.4 5.0 6.7 8.7 6.1 7.8
12月 5.8 9.5 5.0 10.6 1.0 5.0 4.5 4.9 4.8 7.7 4.6 6.3

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2014年12月の総合インフレ率(2006年=100)2.7%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料 2.2% (うち食料品2.1%)、住宅・光熱・燃料-0.4%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。

 通年平均の4.1%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料2.6% (うち食料品2.6%)、住宅・光熱・燃料0.5%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%などである。

 中央銀行(BSP)は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(15年1月6日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。
 

 14年12月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 12月 1-12月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 2.7 2.7 4.1 4.1
食料品・非アルコール飲料 38.98 5.5 2.2 6.7 2.6
   うち食料品のみ 36.29 5.8 2.1 7.0 2.6
酒類・煙草 2.00 4.0 0.1 5.2 0.1
衣料・靴類 2.95 3.5 0.1 3.5 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 -1.6 -0.4 2.3 0.5
家庭用品・営繕 3.22 2.6 0.1 2.7 0.1
健康・医療 2.99 3.1 0.1 3.3 0.1
交通・輸送 7.81 -1.0 -0.1 0.9 0.1
通信 2.26 0.1 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 1.93 1.4 0.0 1.9 0.0
教育 3.36 5.1 0.2 4.9 0.2
外食・サービス他 12.03 1.8 0.2 1.9 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)