14年の株価23%上昇、6年連続高、一時最高値更新
2014/12/30
工業株38%高、不動産株27%高、時価総額14兆ペソ突破
ペソ対ドルレートはやや軟調、年間で0.7%のペソ安に
フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、2014年12月月間で0.87%の下落となった。しかし、2014年年間では22.76%の上昇となった。年間ベースでは6年連続の上昇となり、6年間の上昇率は286%(約3.9倍)に達している。
フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)
フィリピン証券取引所株価指数 | ペソ対米ドルレート | |||
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2004年 | 1,822.83ポイント | 26.38% | 56.280ペソ | -1.39% |
2005年 | 2,096.04ポイント | 14.99% | 53.090ペソ | 6.01% |
2006年 | 2,982.54ポイント | 42.29% | 49.030ペソ | 8.28% |
2007年 | 3,621.60ポイント | 21.43% | 41.280ペソ | 18.77% |
2008年 | 1,872.85ポイント | -48.29% | 47.520ペソ | -13.13% |
2009年 | 3,052.68ポイント | 63.00% | 46.200ペソ | 2.86% |
2010年 | 4,201.14ポイント | 37.62% | 43.840ペソ | 5.38% |
2011年 | 4,371.96ポイント | 4.07% | 43.840ペソ | 0.00% |
2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% | 41.050ペソ | 6.80% |
2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% | 44.395ペソ | -7.53% |
2014年 | 7,230.57ポイント | 22.76% | 44.720ペソ | -0.73% |
2014年1月 | 6,041.19ポイント | 2.57% | 45.320ペソ | -2.04% |
2月 | 6,424.99ポイント | 6.35% | 44.630ペソ | 1.55% |
3月 | 6,428.71ポイント | 0.06% | 44.815ペソ | -0.41% |
4月 | 6,707.91ポイント | 4.34% | 44.600ペソ | 0.48% |
5月 | 6,647.65ポイント | -0.89% | 43.760ペソ | 1.92% |
6月 | 6,844.31ポイント | 2.96% | 43.650ペソ | 0.25% |
7月 | 6,864.82ポイント | 0.30% | 43.460ペソ | 0.44% |
8月 | 7,050.89ポイント | 2.71% | 43.590ペソ | -0.30% |
9月 | 7,283.07ポイント | 3.29% | 44.875ペソ | -2.86% |
10月 | 7,215.73ポイント | -0.92% | 44.880ペソ | -0.01% |
11月 | 7,294.38ポイント | 1.09% | 44.890ペソ | -0.02% |
12月 | 7,230.57ポイント | -0.87% | 44.720ペソ | 0.36% |
年間 | - | 22.76% | - | -0.73% |
(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)
PSEiは、14年9月25日には一時7,413.62ポイントまで上昇、13年5月15日に記録した過去最高値(場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイント)を上回る場面があった。この日の終値は反落し終値ベースでの史上最高値には至らなかったが、場中の瞬間値ベースでは約1年半ぶりの史上最高値更新となった。
その後は、米国の量的緩和終了の動き、イスラム国問題など海外政治情勢に関する不透明感、エボラ出血熱感染拡大懸念、フィリピンのGDP成長率の鈍化などによりやや伸び悩みとなった。しかし、鈍化したもののASEAN屈指の高成長や、良好なファンダメンタルズなどを背景に株価の上昇トレンドが継続した。
14年の大分類セクター別株価指数の上昇率トップは工業株の33.17%。以下、鉱業・石油(資源)株32.70%、不動産株27.42%、金融株18.78%、持株会社株16.03%、サービス株13.94%と続く。すなわち、大分類での6セクター全てが二桁の上昇率となった。
14年の1日当たり平均売買額は約88億ペソに達したが、非常に高水準であった2013年の約105億2,000万ペソを下回った。外人の売買額シェアは49%で、13年の51%から若干低下した。しかし、12年の45%、11年の37.8%からは上昇している。外人は約557億ペソの買い越しとなり、13年の約156億ペソの約3.6倍に達した。
なお、フィリピン証券取引所(PSE)の時価総額は、12年4月央に初の10兆ペソ台に到達、13年初に11兆ペソ台、14年11月に14兆ペソ台を突破した。2014年末時点では前年末比19.4%増の14兆2,517億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同21.4%増の11兆7,128億ペソ、外国企業時価総額が同11.1%増の2兆5,389億ペソとなっている。
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 | 12年の上昇率 | 13年の上昇率 | 14年末終値 | 14年の上昇率 |
フィリピン証券取引所指数 | 32.95% | 1.33% | 7,230.57 | 22.76% |
全株指数 | 21.48% | -2.29% | 4,264.61 | 17.99% |
金融株指数 | 57.49% | -6.42% | 1,696.20 | 18.78% |
工業株指数 | 25.48% | 2.11% | 11,982.76 | 37.89% |
持株会社株指数 | 47.01% | 5.41% | 6,299.94 | 16.03% |
不動産株指数 | 55.59% | -4.30% | 2,810.25 | 27.42% |
サービス株指数 | 6.70% | 8.20% | 2,126.19 | 13.94% |
鉱業・石油株指数 | -17.43% | -38.59% | 15,815.26 | 32.70% |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値)
項目 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
フィリピン証券取引所指数 | 3,052.68 | 4,201.14 | 4,371.96 | 5,812.73 | 5,889.83 | 7,230.57 |
年末時価総額(億ペソ) | 60,291 | 88,611 | 86,970 | 109,301 | 119,313 | 142,517 |
国内企業時価総額 | 39,919 | 68,922 | 72,390 | 94,163 | 96,452 | 117,128 |
外国企業時価総額 | 20,372 | 19,689 | 14,580 | 15,138 | 22,861 | 25,389 |
1日平均売買額(億ペソ) | 41.1 | 49.5 | 57.1 | 72.6 | 105.2 | 88.0 |
外人の売買額シェア | 32.4% | 38.1% | 37.8% | 45.0% | 51.0% | 49.0% |
外人買越額(億ペソ) | 149.2 | 356.2 | 565.2 | 1,099.80 | 155.9 | 557.2 |
PER(株価収益率) | 23.26倍 | 21.32倍 | 16.57倍 | 17.97倍 | 17.79倍 | 20.13倍 |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)
一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2014年12月末終値が1米ドル=44.720ぺソとなり、月間で 0.36%の反発となった。しかし、8月、9月、10月、11月と4カ月連続でペソが下落したことにより、2014年年間では0.73%のペソ安となった。終値ベースでの年間高値は7月23日の43.235ペソ、年間安値は2月3日の45.415ペソであった。
堅調な経済成長、経常収支黒字継続、財政収支大幅改善などというペソ高要因にもかかわらず、米国景気回復期待や 米国の量的緩和終了などにともなう世界的なドル高の動きが当地にも波及した。また、エボラ出血熱感染拡大、イスラム国問題など海外情勢に関する不透明感も響き、年間では小幅ペソ安となった。しかし、世界的なドル高のなかで、ペソは比較的堅調に推移したといえよう(フィリピン・ディーリング・システムやフィリピン証券取引所の取引記録などより)。