日本、フィリピンの災害時の通信迅速復旧を支援

2014/12/25

総務省等がセブで移動式ICTによる実証実験開始
NTT、NTTコム、富士通、東北大学が研究開発

 

 日本総務省は、国際電気通信連合(ITU)及びフィリピン科学技術省(DOST)と協力して、12月15日に、昨年大規模な台風被害を受けたフィリピン・セブ島において、災害対策用の移動式ICTユニットを用いた実証実験を行う共同プロジェクトを開始した。

 このプロジェクトは2014年5月にITU、総務省、DOSTの3者で協力合意文書を締結、ITU-D(ITU電気通信開発部門)と総務省による防災分野における初の具体的協力案件となった。

 移動式ICTユニット(MDRU)とは、東日本大震災での教訓を踏まえて、2011年度から総務省が日本電信電話(NTT)、NTTコミュニケーションズ、富士通、東北大学に委託して研究開発を行った、災害時に被災地へ搬入して通信を迅速に応急復旧させることが可能な通信設備である。
 これまでの発表によると、このユニットは1時間以内にWiFiネットワークを構築し、被災地の人々が通話通信できる無線アクセスネットワークサービスを提供するとのことである。また、避難所の運営も効率的に支援 する。

 このユニットには、車載型やアタッシュケース型等があり、容易に被災地へ搬入することができるので、既存の通信設備が被災して使えない状況であっても、迅速に通信環境を構築し、通話やインターネットを利用することが可能となる。
 
 このほど、セブ島サンレミジオ市の市庁舎等にこのユニットを設置して、Wi-Fiネットワークを利用した通話やデータ通信等を行う実証実験を開始し、2015年9月まで共同プロジェクトを実施する予定である。

 そして、実証実験の結果を踏まえて、移動式ICTユニットの改良を進め、日本国内の防災関係機関への導入・普及を図ると共に、ITUと連携し、災害の多い諸外国への導入・普及に向けた活動を進めて行く方針である(14年12月25日の日本総務省報道資料などより)。