ムーディーズ、フィリピン格付を再引き上げ

2014/12/12

投資適格最低基準よリ一段階上の「Baa2」に

 

世界三大格付機関の一つであるムーディーズ・インベスターズ・サービス (ムーディーズ)が、12月11日に、フィリピンの格付を一段階引き上げ、投資適格最低基準よりも一段階上の「Baa2」とした。「Baa2」は他の格付機関のトリプルB(BBB)と同格である。

 

 ムーディーズと並ぶ有力格付機関であるスタンダード&プアーズ(S&P)は、今年5月8日に、フィリピン格付を「トリプルBマイナス(BBB- )」から「トリプルB(BBB)」へと引き上げ、投資適格最低基準である(BBB- )を一段階上回るステータスとした。このS&Pによる「トリプルB」への引き上げは予想以上に早い時期に実現した。通常、格付の引上げは格付アウトルックの「ポジティブ」への引上げの後に行われるが、この時は格付アウトルック引上げを経ないで、一気に格付自体の引き上げが行われた。したがって、良い意味での大きな驚きを与えたといえる。

 一方、ムーディーズは、昨年10月3日に、フィリピンの格付を「Baa3」へと一段階引き上げた。「Baa3」は「トリプルBマイナス」と同格で、投資適格の中では最低基準であり、三大格付機関のなかでは、最も遅い投資適格への引き上げであった。ただし、この時も良い意味での大きな驚きがあった。この格付引き上げ時に、格付アウトルック(見通し)がポジティブ(強気)とされたことである。

 通常、格付引上げ時には、格付けアウトルックは「ステーブル(安定的)」とされることが多いが、この時は「ポジティ ブ」とされた。格付けアウトルックの「ポジティブ」は、「近い将来に格付引上げの可能性がある」という意味であり、フィリピン格付のさらなる引上げが期待される動きであった。そして、実際に、今回の「Baa2」への再引き上げが実現、S&Pと同様、投資適格最適基準を一段階上回るステータスとした。

 ムーディーズは、近年のフィリピンの高成長、財政収支・規律改善、対外負債縮小、政治的安定などを評価、フィリピンを「アジアのライジング・スター(アジアの成長株、アジアの希望の星)」と評するようになっている(14年12月11日のフィリピン政府官報などより)。