10月の失業率6.0%、10年ぶりの低水準に

2014/12/11

巨大台風被災地のレイテは集計から除外
失業者の半分が若年層、最悪は首都圏9.8%

 

 フィリピン統計庁(PSA)統計局(NSO)は12月10日、2014年10月の失業率(速報値:2000年国勢調査に基づいた人口予測を使って算出)を発表した。2013年11月8日の台風30号(フィリピン名:ヨランダ)で大規模に被災したレイテ州のデータは集計から除外されている。

  14年10月の失業率は6.0%となり、前年同月の6.4%から0.4%ポイント改善した。これは、2005年4月以来10年ぶりの低水準である。 15歳以上の人口(2000年国勢調査基準)6,426万3千人で、労働力参加率は64.3%であった。就業者数は前年同月比2.8%増の3,883万9 千人、失業者数は4.6%減の248万3千人。就業率は94.0%で前年同月の93.6%から0.4%ポイント上昇した。

 就業者3,883万9千人のうち、農業部門が30.8%、鉱工業部門が15.6%、サービス部門が53.7%を占める。就業形態は、賃金労働者が労働者 全体の58.1%(前年同月57.6%)、そのうち民間企業労働者は45.0%(同44.6%)を占めた。自営・事業主は31.2%(同31.6%)、無給家庭 内労働者が10.7%(同10.8%)であった。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の63.7%(同62.7%)を占めた。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は前年同月比7.2%増の727万9千人(不完全就業率は18.7%)。
 
 失業者数248万3千人のうち、15歳~24歳の失業者の割合は49.4%(前年同月47.5%)で若者の失業者の多さが目立つ。次いで25歳~34歳が30.2%(同31.9%)。また学歴別では、大学進学・卒業者の失業者の割合は35.2%(うち卒業者は21.6%)、中学校進学・卒業者は 44.4% (うち卒業者は33.3%)。性別では男性65.2%、女性34.8%。

 地域別で失業率が最も高いのはマニラ首都圏(9.8%)、次いでイロコス地方(7.5%)、中央ルソン地方(7.4%)。失業率が最も低かったのは、サンボアンガ半島(2.7%)。不完全就業率が高いのは東ビサヤ地方32.4%)、最も低いのはコルディリェラ自治区(10.7%)、カガヤン・バレー (10.7%)。

 当地で は、雇用統計は1月、4月、7月、10月と毎年4回発表 されるが、今回2014年10月の労働雇用率、失業率等が算出された。昨年11月8日の超大型台風30号による大規模な被災からまだ復興していないレイテ 州は除外された。比較対象となる2013年10月については、同地域が除外された数値と含んだ数値双方が掲載されている。双方ともに失業率は6.4%と なっている。

 当地では10月は年末年始商戦に向けての一時的就業者増加効果で失業率が低下傾向となる。一方、4月は新卒者の労働市場参入により労働力人口が増加することで失業率が上昇しがちである。このように、季節的要因で失業率が季節毎に大きく変動することから、前年同月との比較でないとあまり意味をなさない (14年12月10日のフィリピン国家統計局発表より)。

 フィリピンの雇用・失業者動向(単位:千人)

項目  新基準の失業率など
年月  14年10月
レイテ州除く
13年10月
レイテ州除く
13年10月
レイテ州含む
15歳以上人口 64,263 63,191 64,414
労働力参加率 64.3% 63.9% 63.9%
就業者数 38,839 37,793 -
就業率 94.0% 93.6% 93.6%
失業者数 2,483 2,603 -
失業率 6.0% 6.4% 6.4%
不完全就業者数 7,279 6,789 -
不完全就業率 18.7% 18.0% 18.1%

(出所・国家統計局資料より作成)

 14年10月の地域別就業率・失業率の比較(単位:千人、%)

地域 15歳以上人口 労働力参加率 就業率 失業率 不完全就業率
マニラ首都圏 8,222 64.4 90.2 9.8 11.4
コルディリェラ行政地域 1,175 66.8 94.4 5.6 10.7
1-イロコス 3,567 62.0 92.5 7.5 15.7
2-カガヤンバレー 2,300 66.8 97.0 3.0 10.7
3-中央ルソン 7,194 62.0 92.6 7.4 15.8
4A-カラバルソン 8,492 65.0 92.9 7.1 17.8
4B-ミマロパ 2,006 66.9 95.5 4.5 20.2
5-ビコール 3,919 62.4 95.1 4.9 30.4
6-西ビサヤ 5,298 64.2 95.7 4.3 20.3
7-中央ビサヤ 4,997 65.7 94.6 5.4 18.5
8-東ビサヤ 1,715 62.7 94.4 5.6 32.4
9-サンボアンガ半島 2,254 63.5 97.3 2.7 22.5
10-北ミンダナオ 3,075 71.0 94.2 5.8 31.0
11-ダバオ地域 3,154 65.5 94.5 5.5 17.6
12-ソックサルジェン 2,757 65.0 97.1 2.9 21.8
カラガ 1,760 64.8 95.8 4.2 22.0
ミンダナオ・イスラム教徒自治区 2,377 56.9 97.1 2.9 12.5
           
フィリピン全体 64,263 64.3 94.0 6.0 18.7
 (出所・国家統計局資料より作成、14年10月は速報値 第8地域にレイテ州は含まれていない)