日清食品、フィリピンでの即席麺事業拡充へ
2014/12/02
ニッシンURC出資比率25%から49%に上昇
三菱商事から10%、URCから14%取得
日清食品ホールディングスは、シンガポール子会社であるNissin Foods (Asia) Pte. Ltd.(日清シンガポール)及びユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)ならびに三菱商事のフィリピンにおける合弁会社であるニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(ニッシンURC)の発行済株式総数の24%を、12月1日に日清シンガポールを通じてURC及び三菱商事より取得した。
この株式取得により、日清グループのニッシンURCに対する株式保有比率は25%から49%に上昇、NURCは日清グループの持分法適用関連会社となった。残りの51%はURCが保有する。また、URCが保有するPayless(ペイレス)ブランドを中心とした即席麺事業(Payless)にかかる生産設備等をニッシンURCが取得した。
日清グループは、2013年4月に「中期経営計画2015」を発表し、2016年3月期の連結売上高4,500億円、連結経常利益360億円を目指している。海外事業については、2016年3月期に売上高985億円の達成を、2026年3月期には日清グループの海外売上高比率50%超の達成を目指して積極的な投資を行っている。
東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額の拡大が見込める有望市場であり、日清グループも同地域での事業展開を加速させている。中でもフィリピンは、2013年の実質GDP伸び率が前年比7.2%を記録するなど高い経済成長を続けている国である。同時に、フィリピンは即席麺の総需要が世界第9位となる27.2億食(出所:2013年WINA)の規模を有する世界有数の市場であり、今後も人口増加や経済力の向上にともない、さらなる市場拡大が期待されている。
日清グループも、以前より合弁会社ニッシンURCを通じて、フィリピン市場の開拓を行ってきたが、特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、袋麺だけでなく、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売も好調に推移している。
このような市場環境を鑑み、日清グループは、フィリピンにおける事業展開のさらなる強化と、そのために機動的な資源投入、意思決定を行うため、URCと三菱商事が保有するニッシンURCの株式をそれぞれ14%及び10%ずつ取得することについて協議を重ね、今回の本株式取得に至った。
現在、URCはニッシンURC以外にも独自でPaylessブランドを中心とした即席麺事業を営んでいるが、Payless事業にかかる生産設備および在庫等の資産は、今回の株式取得もあわせてニッシンURCが取得した。この資産取得により、日清グループ及びURCのフィリピンにおける即席麺事業はニッシンURCへと一本化される予定である。
日清グループは、本取引を通じて機動的な資源投入、意思決定の構造を確立し、日本で培った技術力・商品開発力を活かして生産効率や安全品質の向上を図るとともに、高付加価値商品の導入を進めることで、ニッシンURCを通じたフィリピンにおける即席麺事業のさらなる成長を目指していく。
なお、URCはフィリピンの有力財閥であるゴコンウェイ・ファミリーの大手食品企業である。主力の消費者向けブランド食品(BCF)のほか、砂糖や小麦粉などの生活必需品など幅広く食品事業を展開している。今年3月28日には、カルビーとの間で合弁企業合意書に署名した。それによると、両社は50%ずつ出資、マニラ首都圏パシグ市に「カルビー-URC」を設立する。当初払込資本金は6億5,400万ペソである。そして、2015年からスナックなどの生産を開始する。
URCは7月21日には、ニュージーランドのスナックフード・ホールディングス社(NZFHL)の主要株主との間で、NZFHLを7億ニュージーランド・ドルで買収することで合意した。NZFHLは、ニュージーランド最大のビスケット・スナックメーカーであるグリフィンズ・フーズ社(グリフィンズ)を傘下に収める持株会社である。豪州でも高いシェアを有するほか、26カ国に進出している。この買収やカルビーとの合弁事業などにより、URCの製品多様化、事業基盤の拡充が一段と進展することになる(14年12月2日の日清食品ホールディングスのプレスリリースなどより)。