11カ月間の株価23.8%上昇、11月は1.1%上昇
2014/11/30
工業株37%、鉱業・石油35%、不動産28%上昇
時価総額14兆ペソ台、外人買越額622億ペソに
ペソ対米ドル比較的堅調、1.1%の小幅下落に
フィリピン株式市場が上昇基調を続けている。代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、2013年後半の調整局面を経て再上昇基調となっており、2014年は年間ベースで6年連続の上昇という可能性がかなり高くなっている。
フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)
フィリピン証券取引所株価指数 | ペソ対米ドルレート | |||
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2004年 | 1,822.83ポイント | 26.38% | 56.280ペソ | -1.39% |
2005年 | 2,096.04ポイント | 14.99% | 53.090ペソ | 6.01% |
2006年 | 2,982.54ポイント | 42.29% | 49.030ペソ | 8.28% |
2007年 | 3,621.60ポイント | 21.43% | 41.280ペソ | 18.77% |
2008年 | 1,872.85ポイント | -48.29% | 47.520ペソ | -13.13% |
2009年 | 3,052.68ポイント | 63.00% | 46.200ペソ | 2.86% |
2010年 | 4,201.14ポイント | 37.62% | 43.840ペソ | 5.38% |
2011年 | 4,371.96ポイント | 4.07% | 43.840ペソ | 0.00% |
2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% | 41.050ペソ | 6.80% |
2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% | 44.395ペソ | -7.53% |
2014年1月 | 6,041.19ポイント | 2.57% | 45.320ペソ | -2.04% |
2月 | 6,424.99ポイント | 6.35% | 44.630ペソ | 1.55% |
3月 | 6,428.71ポイント | 0.06% | 44.815ペソ | -0.41% |
4月 | 6,707.91ポイント | 4.34% | 44.600ペソ | 0.48% |
5月 | 6,647.65ポイント | -0.89% | 43.760ペソ | 1.92% |
6月 | 6,844.31ポイント | 2.96% | 43.650ペソ | 0.25% |
7月 | 6,864.82ポイント | 0.30% | 43.460ペソ | 0.44% |
8月 | 7,050.89ポイント | 2.71% | 43.590ペソ | -0.30% |
9月 | 7,283.07ポイント | 3.29% | 44.875ペソ | -2.86% |
10月 | 7,215.73ポイント | -0.92% | 44.880ペソ | -0.01% |
11月 | 7,294.38ポイント | 1.09% | 44.890ペソ | -0.02% |
11カ月間 | - | 23.85% | - | -1.10% |
(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)
2014年11月のPSEiは、乱高下ともいえる激しい動きを見せる場面があった。まず、4日には日本銀行の予想外の緩和を受けて約97ポイント急上昇したが、5日はPLDTの減益決算発表などにより約91ポイントの急反落となった。その後は、先進国市場の上昇などを背景に堅調な動きを続け、26日には7,356.59ポイントまで上昇、過去最高値を視野に入れた。しかし、27日には、第3四半期GDP成長率が5.3%にとどまったことへの失望で約91ポイント急反落した。結局11月月間では1.09%の反発となり、年初11カ月間では23.85%の上昇となっている。
年初11カ月間の大分類セクター別指数の上昇率トップは工業株の37.28%。以下、鉱業・石油(資源)株34.82%上昇、不動産株28.31%上昇、金融株20.17%上昇、持株会社株17.05%上昇、サービス株15.94%上昇と続く。すなわち、大分類での6セクター全てが二桁の上昇となっている。
11カ月間の1日当たり平均売買額は86億7,284万ペソに達しているが、非常に高水準であった2013年年間平均の105億2,000万ペソを下回っている。外人の売買額シェアは50%で、2013年の51%から若干低下している。しかし、2012年の45%、2011年の37.8%からは上昇している。外人は11カ月間で622億ペソの買い越しとなっている。特に11月は約270億ペソという高水準の買い越しとなった。11月末の時価総額は前年末比19.3%増の14兆2,386億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同21.9%増の11兆7,581億ペソ、外国企業時価総額が同8.5%増の2兆4,805億ペソであった。
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 | 12年の上昇率 | 13年の上昇率 | 14年11月末終値 | 11カ月間上昇率 |
フィリピン証券取引所指数 | 32.95% | 1.33% | 7,294.38 | 23.85% |
全株指数 | 21.48% | -2.29% | 4,296.90 | 18.89% |
金融株指数 | 57.49% | -6.42% | 1,716.08 | 20.17% |
工業株指数 | 25.48% | 2.11% | 11,929.73 | 37.28% |
持株会社株指数 | 47.01% | 5.41% | 6,355.46 | 17.05% |
不動産株指数 | 55.59% | -4.30% | 2,829.87 | 28.31% |
サービス株指数 | 6.70% | 8.20% | 2,163.54 | 15.94% |
鉱業・石油株指数 | -17.43% | -38.59% | 16,068.06 | 34.82% |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値、2014年は11月末値)
項目 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年11月 |
フィリピン証券取引所指数 | 3,052.68 | 4,201.14 | 4,371.96 | 5,812.73 | 5,889.83 | 7,294.38 |
年末時価総額(億ペソ) | 60,291 | 88,611 | 86,970 | 109,301 | 119,313 | 142,386 |
国内企業時価総額 | 39,919 | 68,922 | 72,390 | 94,163 | 96,452 | 117,581 |
外国企業時価総額 | 20,372 | 19,689 | 14,580 | 15,138 | 22,861 | 24,805 |
1日平均売買額(億ペソ) | 41.1 | 49.5 | 57.1 | 72.6 | 105.2 | 86.7 |
外人の売買額シェア | 32.4% | 38.1% | 37.8% | 45.0% | 51.0% | 50.0% |
外人買越額(億ペソ) | 149.2 | 356.2 | 565.2 | 1,099.80 | 155.9 | 621.9 |
PER(株価収益率) | 23.26倍 | 21.32倍 | 16.57倍 | 17.97倍 | 17.79倍 | 20.35倍 |
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)
一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2014年11月末終値が1米ドル=44.890ぺソとなり、月間で 0.02%の小幅続落となった。堅調な経済成長、経常収支黒字、財政収支大幅改善などというペソ高要因にもかかわらず、米国景気回復期待や 米国の量的緩和終了などにともなう世界的なドル高の動きが当地にも波及した。また、エボラ出血熱感染拡大、イスラム国問題など海外情勢に関する不透明感も響いている。
8月、9月、10月、11月と4カ月連続でペソが下落したことにより、11カ月間累計では1.10%のペソ安となっている。しかし、世界的なドル高のなかで、ペ ソは比較的堅調に推移しているといえよう(フィリピン・ディーリング・システムやフィリピン証券取引所の取引記録などより)。
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