サンミゲル、9カ月間の帰属純利益74%増の132億ペソ
2014/11/11
少数株主損益調整前の純利益は31%増の232億ペソ
キリン出資のビール事業は5%増収、営業利益1%減に
フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲルが、11月11日に、2014年9カ月間(1月~9月)の決算速報発表を行った。
今9カ月間の純収入は前年同期比10%増の5,987億ペソに達した。多角化部門が12%増収、飲食料など従来のコア事業が5%増収であった。営業利益は同2%増の467億ペソ、経常的EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は同8%増の672億ペソとなった。そして、少数株主損益調整前の純利益は同31%増の232億ペソ、少数株主損益調整後の帰属純利益は同74%増の132億ペソへと各々二桁増加となった。
キリン・ホールディングス(キリン)が出資するサンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB)の販売数量は、値上げの影響が残ったが同3%増の1億5,260万ケースに達した。販売価格が上昇したこともあって売上高は同5%増の562億8,300万ペソと増収となったが、営業利益は同1%減の152億7,000万ペソと小幅ながら減少した。
ヒネブラ・サンミゲルが展開する洋酒部門の販売数量は同2%増の1,500万ケースとなった。販売価格上昇や非アルコール飲料の増収で、売上高は同7%増の106億2,800万ペソ、営業損益は1億2,400万ペソの黒字に転換した(前年同期は8億6,900万ペソの赤字)。
サンミゲル・ピュアフーズによる食品部門の売上高は同4%増の744億1,500万ペソ、営業利益は同18%増の43億2,700万ペソに達した。一 方、パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は同3%減の172億6,400万ペソにとどまったが、マレーシア事業やPET事業の改善などで営業利益は同6%増の15億7,600万ペソへと回復した。
多角化事業である電力関連事業の発電量は同4%増の1万3,000ギガワット時(Gwh)、純収入は同19%増の655億1,600万ペソ、営業利益は同 39%増の218億7,700万ペソに達した。サンミゲルの発電事業は、2010年第3四半期から持ち株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングス のもとに集約されている。現在リマイ発電所(150MW×2)やマリタ発電所(150MW×2)を建設中である。
石油製品部門(国内最大の石油元売り企業であるペトロン)の販売数量は前年同期比7.3%増の6,470万バレルに達した。特に、フィリピン国内の販売数量は同11%増の3,830万バレルと好調であった。そして、売上高は同13%増の3,795億4,000万ペソと高水準であった。
しかし、営業利益は同27%減の69億ペソ、純利益は同26%減の32億ペソへと二桁減少した。これは、第3四半期の国際原油市況急落に伴い販売価格が急速に値下がりしたことで、それまでに仕入れた高値在庫に由来する損失が発生したことなどによる。
多角化部門に関しては、ぺトロンによるエッソ・モービル・マレーシア石油川下事業買収(総額5億7,730万米ドル)効果が顕在化しつつあるうえ、カティクランのボラカイ空港拡張工事進展(今年12月完工予定)、タ―ラック~ラ・ウニオン高速道路の一部開通、MRT7号線 の建設、スカイウエイ第3期事業(ルソン南北高速道路連結)建設、ニノイ・アキノ国際空港高速道路プロジェクト・フェーズⅡ建設本格化など拍車がかかっている。
更なる多角化、事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張し9月末で4,610億ペソに達していることを先行きの懸念材料とする見方もある。しかし、現金残高も2,380億ペソと高水準で、業容は急ピッチで拡大を続けている。また、負債対自己資本比率は2.19倍、有利子負債対自己資本比率は1.19倍、純負債対EBITDA比率は2.50倍という水準である(14年11月11日のフィリピン証券取引所回覧05935-2014号などより)。