PLDT業績低調、第3四半期14%減益に
2014/11/04
9カ月間で3%減益、実質ベースでは1%減益
携帯電話加入件数、5%減の6,900万件に
通信業界首位のフィリピン長距離電話(PLDT)が、11月4日に、2014年第3四半期(7月~9月)及び9カ月間(1月~9月)の決算速報を発表した。
それによると、今9カ月間の総収入は前年同期比2%増1,273億ペソ、サービス収入は同1%増の1,229億ペソと依然伸び悩んだ。主力の携帯通信収 入は同 1%減の858億ぺソと小幅ながら減収となった。一方、費用は同6%増の935億ペソに達した。その結果、株主帰属純利益は同3%減の280億ペソ、デ リバティ ブ損益など一時的損益を調整したコア純利益も同1%減の286億ペソと減益決算となった。
特に、今第3四半期の帰属純利益は同14%減の79億ペソと二桁減益、デリバティブ損益など一時的損益を調整したコア純利益も同7%減の87億ペソと不振であった。この不振な決算発表が、11月4日の株式市場急反落の主要因となった。
フィリピンの携帯電話普及率が100%を超える(重複加入などを考慮しない単純計算)一方、競争激化、先行投資負担など事業環境は厳しくなってきている。2011年、2012年、2013年と調整局面が続いたが、2014年もやや厳しい推移となっている。
2014年9月末の携帯電話加入件数は6,900万であった。2013年末の7,000万から1.4%減少、2013年9月末の7,250万から4.8%の減少となっている。ブランド別内訳はスマートが2,570万、トークNテキストが2,780万、買収したディジテルのサンセルラーが1,550万となっている。
一方、ブロードバンド・データ・インターネット事業収入は前年同期比20%増の234億ペソと好調で、全サービス収入の19%を占めるに至った。特に、 ワイヤレス・インターネット収入が同69%増の57億ペソへと急増した。2014年9月末のブロードバンド加入件数は370万件となっている。
競争激化のなか、PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきてい る。また、ディジテル買収など事業基盤強化も推進している。2014年通年の設備投資額は345億ペソ(サービス収入の20%)と設定されている。
PLDTは、中期的には高付加価値化やディジテルの買収効果が顕在化してきそうなこともあって、業績が遠からず再上昇基調となる可能性が高いとの自信を表明 している。しかし、足許の業績は厳しそうである。当初2014年のコア純利益目標は前年比2%増の395億ペソと設定されていたが、同4%減の370億ペソへと下方修正された(14年11月4日のフィリ ピン証券取引所回覧05751-2014号などより)。