10カ月間の株価22.5%上昇、10月は小幅調整

2014/11/01

工業株33%、鉱業・石油32%、不動産27%上昇
ペソ対米ドル比較的堅調、1.1%の小幅下落に

 

 フィリピン株式市場が上昇基調を続けている。代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、2013年後半の調整局面を経て再上昇基調となっており、2014年は年間ベースで6年連続の上昇というペースで推移している。



 9月25日には一時7,413.62ポイントまで上昇、昨年5月15日に記録した過去最高値(場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイント)を上回る場面があった。この日の終値は反落し終値ベースでの史上最高値には至らなかったが、場中の瞬間値ベースでは約1年半ぶりの史上最高値更新となった。

 フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
  時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年 5,889.83ポイント 1.33% 44.395ペソ -7.53%
         
2014年1月 6,041.19ポイント 2.57% 45.320ペソ -2.04%
2月 6,424.99ポイント 6.35% 44.630ペソ 1.55%
3月 6,428.71ポイント 0.06% 44.815ペソ -0.41%
  4月 6,707.91ポイント 4.34% 44.600ペソ 0.48%
5月 6,647.65ポイント -0.89% 43.760ペソ 1.92%
6月 6,844.31ポイント 2.96% 43.650ペソ 0.25%
 7月  6,864.82ポイント  0.30%  43.460ペソ  0.44%
8月 7,050.89ポイント 2.71% 43.590ペソ -0.30%
 9月  7,283.07ポイント  3.29%  44.875ペソ  -2.86%
10月 7,215.73ポイント -0.92% 44.880ペソ -0.01%
10カ月間 - 22.51% - -1.08%

(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)

 PSEiは、2014年10月月間では0.92%の反落となった。
米国の量的緩和の終了観測、イスラム国問題など海外政治情勢に関する不透明感、エボラ出血熱感染拡大懸念などを背景に、高値圏での調整となった。しかし、フィリピンの堅調な景気、良好なファンダメンタルズなどを背景に、年初10カ月間では22.51%の上昇となっている。

 大分類セクター別指数の上昇率トップは工業株の33.17%。以下、鉱業・石油(資源)株31.75%上昇不動産株27.29%上昇、サービス株17.71%上昇、金融株16.34%上昇、持株会社株16.26%上昇と続く。すなわち、大分類での6セクター全てが二桁の上昇となっている。

 10カ月間の1日当たり平均売買額は85億0,515万ペソに達しているが、非常に高水準であった2013年年間平均の105億2,000万ペソを下回っている。外人の売買額シェアは50%で、2013年の51%からz若干低下している。しかし、2012年の45%、2011年の37.8%からは上昇している。外人は10カ月間で351億6,740万ペソの買い越しとなっている。10月末の時価総額は前年末比17.0%増の13兆9,513億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同19.7%増の11兆5,429億ペソ、外国企業時価総額が同5.7%増の2兆4,164億ペソであった。

 フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 12年の上昇率 13年の上昇率 14年10月末終値 10カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 32.95% 1.33% 7,215.73 22.51%
全株指数 21.48% -2.29% 4,250.51 17.60%
  金融株指数 57.49% -6.42% 1,661.40 16.34%
  工業株指数 25.48% 2.11% 11,573.10 33.17%
  持株会社株指数 47.01% 5.41% 6,312.19 16.26%
  不動産株指数 55.59% -4.30% 2,807.30 27.29%
  サービス株指数 6.70% 8.20% 2,196.55 17.71%
  鉱業・石油株指数 -17.43% -38.59% 15,701.88 31.75%

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

 フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値、2014年は10月末値)

項目 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年10月
フィリピン証券取引所指数 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,215.73
年末時価総額(億ペソ) 60,291 88,611 86,970 109,301 119,313 139,593
  国内企業時価総額 39,919 68,922 72,390 94,163 96,452 115,429
  外国企業時価総額 20,372 19,689 14,580 15,138 22,861 24,164
1日平均売買額(億ペソ) 41.1 49.5 57.1 72.6 105.2 85.1
外人の売買額シェア 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0% 50.0%
外人買越額(億ペソ) 149.2 356.2 565.2 1,099.80 155.9 351.7
PER(株価収益率) 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 20.05倍

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)

 一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2014年10月末終値が1米ドル=44.880ぺソとなり、月間で0.01%の小幅続落となった。アジア主要国で2番目の高成長、経常収支黒字など、財政収支大幅改善というペソ高要因にもかかわらず、米国景気回復期待や米国の量的緩和終了という観測(実際に決定)などにともなう世界的なドル高の動きが当地にも波及した。また、イスラム国問題など海外情勢に関する不透明感も響いた。

 8月、9月、10月と3カ月連続でペソが下落したことにより、10カ月間累計では1.08%のペソ安となっている。しかし、世界的なドル高のなかで、ペソは比較的堅調に推移しているといえよう(フィリピン・ディーリング・システムやフィリピン証券取引所の取引記録などより)。