フィリピン 得意なIT活用で製造業振興へ

2014/10/25

国際協力銀行が比政府経済セミナーで講演

 

 10月8日、フィリピン政府主催の経済セミナー「Philippine Economic Briefing in Japan」が東京で開催され、国際協力銀行(JBIC)外国審査部の吉田悦章第1ユニット長が、フィリピン経済に関する講演を行った。


 このセミナーは、フィリピンの財務省を中心とする政府・政府機関の主催により、日本の財務省、JBIC、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)並びに民間金融機関8社(三菱東京UFJ銀行、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ銀行、みずほ証券、野村證券、三井住友銀行、SMBC日興証券) の後援も得ながら、日本におけるフィリピン経済の理解を促進するために開催されたもので、聴衆は、日系企業や金融機関の関係者を中心に約400名に達した。

 このセミナーでは、プリシマ財務大臣、バリサカン国家経済開発庁長官、ヒメネス観光大臣、シンソン公共事業・道路大臣といった閣僚の参加もあり、前半にフィリピンの経済・金融市場、後半にインフラ開発という二部構成のもと、関係閣僚等からの講演や活発な質疑応答が行われた。

 フィリピンは、近年、概ね7%近傍の高い実質GDP成長率を維持しており、安定した海外労働者送金やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業の拡大もあって、今後も順調な経済成長が見込まれている。こうした中で、2013年には大手格付会社が軒並みフィリピン政府の信用格付を投資適格級に引き上げており、海外投資家の関心も高まっている。

 JBICの吉田氏は、主として長期的観点から、1億人を超えた人口の市場や労働力としての利点も踏まえつつ、潜在成長率の推計も紹介しながらフィリピン経済の明るい見通しを説明した。また、JBICによる「2013年度海外直接投資アンケート結果」 における「中期的有望事業展開先国」のランキングでは11位とやや出遅れていることを紹介し、今後の方向性として、既に強みを有するIT産業を活用した製造業振興の可能性を示した。

 JBICは、今後もこうした機会を通じ、フィリピンをはじめとする新興国経済に関する情報発信を行い、各国政府や日本企業等との関係強化を図っていく方針である(14年10月24日の株式会社国際協力銀行トピックスより)。