9月のインフレ率4.4%、前月4.9%から鈍化

2014/10/08

9カ月間平均4.4%で目標圏内、コアは3.1%
寄与度:食料2.6%、住宅等0.7%、教育0.2%

 

 フィリピン国家統計局(NSO)発表によると、2014年9月の総合消費者物価(2006年=100)は前年同月比で 4.4%上昇(速報値)した。前月から0.5%ポイントの鈍化。フィリピン中央銀行(BSP)の当月予想 (4.1~4.9%)圏内に収まった。一方、特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は3.4%と前月から横ばいであった。


 前年同月のインフレ率2.7%からは大幅な上昇であるが、7月、8月の上昇傾向から一先ず落ち着いた。中央銀行は、前月から鈍化した主な理由として、構成比の高い食料品・非アルコール飲料や電力料金、地元石油製品の価格上昇がゆっくりであったことを挙げている。9月は、米やトウモロコシ(コーン)、野菜など主要食料品の国内供給量が十分であった。また、低発電コストにより電力料金が下方修正された。

 インフレ率を地域別で見ると、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は3.5%で前月(4.4%)から0.9%ポイント低下。一方、首都圏以外の 地方 (地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は4.7%と、前月(5.0%)から0.3%ポイント低下した。インフレ率が最も高かった地方は東ビサヤ地方(6.3%)、次いでビコール地方(5.6%)、サンボアンガ半島(5.4%)。セブ州など中央ビサヤ地方は5.1%。最もインフレ率が低かっのは、ダバオ地方(4.0%)、北ミンダナオ地方(4.0%)であった。

 2014年年初9カ月間(1~9月)の平均総合インフレ率は4.4%で、2014年度政府インフレ目標(3.0~5.0%)のほぼ中央値で推移している。平均コアインフレ率は3.1%であった。 



      消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 2014年9月 2014年8月 2013年9月 14年1-9月
全国    総合インフレ率 4.4 4.9 2.7 4.4
       コアインフレ率 3.4 3.4 2.3 3.1
首都圏  総合インフレ率 3.5 4.4 1.1 3.4
地方    総合インフレ率 4.7 5.0 3.1 4.6

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)



        総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
平均インフレ率 8.3 4.2 3.8 4.6 3.2 3.0

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


   政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年 2015~16年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 9.3% 3.2% 3.8% 4.4% - -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


          総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 13年 14年 
13年 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
総合 3.0 2.7 2.9 3.3 4.1 4.2 4.1 3.9 4.1 4.5 4.4 4.9 4.9  4.4
食料品・非アルコール飲料 2.8 2.5 3.2 3.9 4.8 5.5 5.5 5.8 6.2 6.7 7.4 8.2 8.3  7.4
酒類・煙草 29.8 31.2 31.0 30.7 30.9 17.6 7.1 4.9 4.1 4.0 3.7 3.5 3.5  3.5
衣料・靴類 3.6 2.9 3.0 2.9 3.1 3.4 3.7 3.7 3.3 3.4 3.4 3.3 3.4  3.6
住宅・光熱・燃料 1.7 1.1 0.8 1.9 3.5 3.4 3.6 2.7 3.1 3.7 2.3 2.4 2.7  2.2
家庭用品・営繕 3.3 2.3 2.2 2.3 2.4 2.6 2.8 2.8 2.4 2.5 2.6 2.6 2.7  2.8
健康・医療 3.0 2.7 2.5 2.5 2.9 3.2 3.3 3.3 3.0 3.0 3.0 3.2 3.3  3.5
交通・輸送 0.6 0.6 0.5 0.7 1.2 1.2 1.0 1.0 1.3 1.5 1.3 1.5 1.1  0.7
通信 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0  0.1
娯楽・文化 2.3 2.5 2.5 2.5 2.4 2.5 2.5 2.4 2.4 2.3 1.2 1.3 1.3  1.5
教育 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 5.0 5.1 5.1  5.1
外食・サービス他 2.4 2.2 2.2 2.1 2.3 2.2 2.2 2.0 2.0 1.9 1.9 1.8 1.7  1.8
首都圏 1.6 1.1 1.1 1.9 2.6 2.7 2.8 2.9 3.3 3.8 3.6 3.9 4.4  3.5
 地方 3.3 3.1 3.4 3.8 4.6 4.6 4.5 4.2 4.4 4.7 4.7 5.1 5.0  4.7




                 食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
13/9月 2.5 7.1 3.9 3.8 -3.7 2.0 1.5 1.7 -6.8 6.0 -4.2 3.3
10月 3.4 7.8 3.7 3.8 1.2 2.2 2.5 1.6 -5.6 6.4 -4.0 3.4
11月 4.0 8.1 3.6 3.9 5.4 2.2 3.1 1.5 -4.5 6.6 -2.7 3.3
12月 5.0 9.2 3.8 4.3 9.8 2.3 3.3 1.7 -1.9 7.4 0.1 3.6
14/1月 5.7 10.0 3.3 4.2 12.1 2.6 4.3 2.0 0.4 8.0 2.0 3.8
2月 5.9 10.7 3.0 5.5 12.0 2.6 3.9 2.3 1.2 8.4 2.4 3.9
3月 6.0 11.8 4.5 5.8 8.7 2.9 3.9 2.4 2.2 9.4 3.1 4.7
4月 6.5 12.1 4.9 5.8 8.2 3.4 5.0 2.5 3.4 9.7 3.6 6.5
5月 7.1 12.9 5.6 6.1 8.4 4.0 5.6 2.8 5.1 10.3 4.3 9.1
6月 7.8 13.6 7.2 4.6 12.4 4.6 5.4 3.1 6.1 10.8 6.4 10.3
7月 8.7 14.4 7.8 5.8 16.1 5.1 5.8 3.6 7.0 11.5 7.1 10.0
8月 8.7 13.2 9.1 8.3 15.0 5.9 6.4 4.2 7.5 10.7 7.5 9.6
9月  7.8  10.7  8.3  10.0  9.8  5.9  6.6  4.5  7.5  8.8  7.8  10.5

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2014年9月の総合インフレ率(2006年=100)4.4%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料2.9% (うち食料品2.8%)、住宅・光熱・燃料0.5%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。
 9カ月間平均の4.4%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料2.6% (うち食料品2.6%)、住宅・光熱・燃料0.7%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%などである。

 中央銀行(BSP)は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(14年10月7日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。
 

           14年9月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 9月 1-9月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.0 4.4 4.4 4.4 4.4
食料品・非アルコール飲料 38.98 7.4 2.9 6.7 2.6
   うち食料品のみ 36.29 7.8 2.8 7.2 2.6
酒類・煙草 2.00 3.5 0.1 5.6 0.1
衣料・靴類 2.95 3.6 0.1 3.4 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 2.2 0.5 2.9 0.7
家庭用品・営繕 3.22 2.8 0.1 2.6 0.1
健康・医療 2.99 3.5 0.1 3.2 0.1
交通・輸送 7.81 0.7 0.1 1.2 0.1
通信 2.26 0.1 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 1.93 1.5 0.0 2.0 0.0
教育 3.36 5.1 0.2 4.8 0.2
外食・サービス他 12.03 1.8 0.2 1.9 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)