在比日本大使館の邦人援護、13年は20%増の770件

2014/10/08

全在外公館中4位(前年6位)、超大型台風など響く

 

 10月6日に、日本外務省は、2013年海外邦人援護統計(PDF)PDFを外務省ホームページ及び海外安全ホームペー ジに掲載した。この海外邦人援護統計は、日本在外公館及び財団法人交流協会が海外において事故・災害,犯罪加害及び犯罪被害等で何らかのトラブルに遭遇し た邦人に対し行った援護の件数及び人数を歴年毎にとりまとめたものである。

 2013年において、日本の在外公館及び財団法人交流協会が取り扱った海外における事件・事故等に係わる総援護件数は1万7,796件(対前年比 2.32%減)で、総援護対象者数は1万9,746人(同3.10%減)であった。援護件数は過去10年において二番目に多く、援護人数は過去四番目で あった。なお、援護人数はインド洋大津波が発生した2004年が最多であった。

 『犯罪加害』は329件(371人)であった。主なものは、「出入国・査証関係犯罪」(96件、105人)、「道路交通法違反」(46件、46人)、 「傷害・暴行」(35件、39人)となっている。また、国によって非常に重い量刑が科される「麻薬犯罪」は33件(39人)となっている。

 「死亡者数」は601人で過去10年間で3番目に多く、「負傷者数」は420人で過去10年間で最も少なかった。疾病等による死亡が422人で全死亡者数の約7割を占めており、次いで自殺による死亡者数が62人と約1割の割合となっている。

 地域別では、アジア地域が6,466件(6,794人)と前年に引き続き最も多く、次いで北米地域(4,976件/5,545人),欧州地域 (4,363件/4,657人),中南米地域(974件/1,634人)、大洋州地域(466件/494人)、アフリカ地域(321件/376人)、中東 地域(230件/246人)となっている。前年と比較すると中南米地域(139件増、358人増)と援護件数に大きな増加がみられ、他地域は軒並み減少し た。

 傾向として、特にアジア地域では麻薬等の犯罪加害、窃盗、詐欺等の犯罪被害が多く、また傷病による死亡件数も多かった。北米地域においては前年に引き続き「所在調査」が増加しており、主に相続や裁判手続きのために利用されることが多くなってきたためと考えられる。欧州地域は前年同様に窃盗被害が他地域に比べ突出して多い。

 暴動・政変・テロ等にかかわる邦人援護としては、1月にアルジェリア・イナメナスにおいて武装集団による襲撃事件が発生、邦人他多くの外国人が犠牲となった。また、12月にタイ・バンコクにおいて、邦人カメラマンが取材中に治安部隊とデモ隊による衝突に巻き込まれ負傷した。

 自然災害にかかわる邦人援護としては、11月にフィリピンにおいて、台風30号により邦人を含む多くの人が被災したが、邦人の死傷者はいなかった。

 在外公館別の援護件数を見ると、在タイ大使館が全在外公館の中で最も多く1,216件、次いで在上海総領事館1,116件、在フランス大使館829件、 在フィリピン大使館770件、在英国大使館682件となっている。

 上記のように、在フィリピン日本国大使館の援助件数は770件で前年の641件からは20%増加した。在外公館別順位は第4位となり一昨年の6位から再上昇した。2010年に前年比46%増の1,354人へと急増し、それまで17年連続であったタイを上回り一気に1位へと上昇したあとは、2011年、2012年は600人台にとどまっていた。しかし、超大型台風30号の影響もあって2013年は前年比二桁増加という結果となった(14年10月6日の日本外務省領事局海外邦人安全課発表より)。



 援護件数の多い在外公館上位(2011年)

順位 在外公館名 件数
1 在タイ日本国大使館 1,216
2 在上海日本国総領事館 1,116
3 在フランス日本国大使館 829
4 在フィリピン日本国大使館 770
5 在英国日本国大使館 682
6 在ニューヨーク日本国総領事館 663
7 在ロサンゼルス日本国総領事館 655
8 在バルセロナ日本国総領事館 410
9 在大韓民国日本国大使館 358
10 在中華人民共和国日本国大使館 342



   在フィリピン日本国大使館の邦人援助件数推移

項目 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年
邦人援護件数 708 728 849 884 1,017 914 853 927 1,354 679 641
770
公館別順位 5位 5位 3位 4位 2位 4位 4位 3位 1位 4位 6位 4位

 (出所:日本外務省資料より作成)