9カ月間で23.7%上昇、鉱業・石油株が43.7%急騰
ペソは9月に2.9%続落、9ケ月間で1.1%のペソ安

 

　フィリピン株式市場が堅調な動きを続けている。

　フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数（PSEi）は、 年間ベースでは2013年まで5年連続の上昇となったが、2013年の上昇率は1.33%と小幅なものとなった。非常に好調であった2013年5月央まで の上昇分が、年後半の調整でほぼ吐き出された。しかし、2014年に入ると値頃感からの買いやフィリピン経済の強さの再評価などで再上昇基調となってい る。

　フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き（年末、もしくは月末値）

フィリピン証券取引所株価指数			ペソ対米ドルレート
時期	年末・月末値	上昇率	年末・月末値	上昇率
2004年	1,822.83ポイント	26.38%	56.280ペソ	-1.39%
2005年	2,096.04ポイント	14.99%	53.090ペソ	6.01%
2006年	2,982.54ポイント	42.29%	49.030ペソ	8.28%
2007年	3,621.60ポイント	21.43%	41.280ペソ	18.77%
2008年	1,872.85ポイント	-48.29%	47.520ペソ	-13.13%
2009年	3,052.68ポイント	63.00%	46.200ペソ	2.86%
2010年	4,201.14ポイント	37.62%	43.840ペソ	5.38%
2011年	4,371.96ポイント	4.07%	43.840ペソ	0.00%
2012年	5,812.73ポイント	32.95%	41.050ペソ	6.80%
2013年	5,889.83ポイント	1.33%	44.395ペソ	-7.53%
2014年1月	6,041.19ポイント	2.57%	45.320ペソ	-2.04%
2月	6,424.99ポイント	6.35%	44.630ペソ	1.55%
3月	6,428.71ポイント	0.06%	44.815ペソ	-0.41%
4月	6,707.91ポイント	4.34%	44.600ペソ	0.48%
5月	6,647.65ポイント	-0.89%	43.760ペソ	1.92%
6月	6,844.31ポイント	2.96%	43.650ペソ	0.25%
7月	6,864.82ポイント	0.30%	43.460ペソ	0.44%
8月	7,050.89ポイント	2.71%	43.590ペソ	-0.30%
9月	7,283.07ポイント	3.29%	44.875ペソ	-2.86%
9カ月間	-	23.66%	-	-1.07%

（出所：フィリピン証券取引所やＰＤＳ資料より作成）

　PSEiは、2014年9月月間では3.29%の続伸となった。9月25日には一時7,413.62ポイントまで上昇、昨年5月15日に記録した過去最 高値（場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイント）を上回る場面があった。この日の終値は反落し終値ベースでの史上最高値には至らなかったが、場中の瞬間値ベースでは約1年半ぶりの史上最高値更新となった。

　米国景気回復期待を背景にNYダウ30種が主に1万7千ドル台で推移するなど主要国市場が総じて堅調に推移したこと、フィリピンの第2四半期GDP成長 率がアジア主要国で2番目に高い6.4% に回復したことなどを背景に強い動きを見せた。

　年初9カ月間の上昇率は23.66%に達した。セクター別指数では鉱業・石油株43.71%上昇、工業株34.85%上昇、不動産株29.84%上昇、金融株19.54%上昇などが目立つ。


　フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目	12年の上昇率	13年の上昇率	14年9月末終値	9カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数	32.95%	1.33%	7,283.07	23.66%
全株指数	21.48%	-2.29%	4,305.45	19.12%
金融株指数	57.49%	-6.42%	1,707.06	19.54%
工業株指数	25.48%	2.11%	11,718.83	34.85%
持株会社株指数	47.01%	5.41%	6,414.97	18.15%
不動産株指数	55.59%	-4.30%	2,863.52	29.84%
サービス株指数	6.70%	8.20%	2,131.92	14.25%
鉱業・石油株指数	-17.43%	-38.59%	17,127.26	43.71%

（出所：フィリピン証券取引所資料より作成）

　一方、PDS（フィリピン・ディーリング・システム）でのペソ対米ドルレートは、2014年9月末終値が1米ドル＝44.875ぺソとなり、月間で2.86%の続落となった。米国景気回復期待や米国金融政策の引きしめへの転換という観測などにともなうドル高の動きが当地にも波及した。また、中東など海外情勢に関する不透明感も響いた。

　9月にペソがかなり下落したことにより、9カ月間累計では1.07%のペソ安となっている（フィリピン・ディーリング・システムやフィリピン証券取引所の取引記録などより）。