住商など日系企業、比の地熱発電大国化に貢献
2014/09/30
先週末に東ネグロス州ナスロ発電所が稼働
運営企業EDCは世界最大級の地熱発電企業
世界的な地熱発電企業であるエナジー・デベロップメント(EDC)の東ネグロス州バレンシアのナスロ地熱発電所(49.4ME)が、9月26日に稼働した。この発電所は、EDCの旧北ネグロス地熱発電所を移転したものであり、今後、ビサヤ地方におけるクリーン・エ ネルギーの重要な拠点となる。
北ネグロス地熱発電所は、ネグロス島の北西部に位置し、2007年に富士電機製の地熱発電所設備一式が納入された。その後、同発電所地域では地熱発電設備を継続的に稼働するための十分な蒸気を確保することが困難となったため、EDCは、 同発電所の主要既存設備をネグロ島南東部の東ネグロス州バレンシアのナスロへ移設することを決定したのである。
住友商事は、この北ネグロス地熱発電所主要設備のナスロへの移設案件を2012年12月に受注した。この案件では、住友商事が主契約者となり、太平電業グループ並びにフィリピンの工事会社が参画。また、富士電機からも技術面の支援を受け、2014年内の移設完工を目指し工事を進めてきたが、予定通り完工、稼働開始となった。
なお、住友商事は1998年に富士電機と共に、フィリピン最大規模のマリトボグ地熱発電所(77.5MW x 3基)を手掛け、完工させた実績がある。フィリピンでの実績を含め、住友商事が工事・主要機器の供給に携わった地熱発電プロジェクトの総出力は約 2,200MWに達する。
フィリピンはインドネシア、米国、日本に次ぐ第4位の地熱資源国であり、累積地熱発電設備容量では世界2位を占めている。フィリピンでは2000年以降地熱発電の導入が停滞していたが、2009年の再生可能エネルギー法案の施行により、地熱発電を含む再生可能エネルギーの導入に対し、法的・経済的優遇策が取られ、動きが活発化してきている。上記の例でみられるように、日本や日本企業は、世界第2位の規模のフィリピン地熱発電事業に大きく貢献しているといえよう。
なお、EDCは世界第2位の地熱発電国家であるフィリピンにおいて、世界最大級の1,150メガワットという地熱発電能力を有し、国内で60%以上という圧倒的シェアを誇っている。このほか、パンタバンガン-マイウェイ水力発電所などによる132メガワットの水力発電能力を有するほか、北イロコス州でのブルゴス風力発電プロジェクト(計150メガワット)など代替エネプロジェクトを推進中である (14年9月29日のフィリピン証券取引所回覧04846-2014号などより)。